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「レッドクリフ パート1」予告編作成 架空倭人の巻

chinatomyの雑記さんと「レッドクリフの甘興って・・・」と盛り上がったので、
「レッドクリフ パート1」の予告編メーカーで「オリジナルキャラ:甘興」にスポットを当ててみました。
呉蜀軍の結束・分裂の鍵です。



グリムス

2008/12/14(日)
chinatomyの雑記さんで知った、グリムスというブログパーツを置いてみました。このブログはエコもロハスも関係ないけど、ブログ更新したり関連ワードを含んだ記述をすると画面上の苗が育って一本の木になり、実際に苗が植えられるそうです。
タダでこういうツールをネットに置くだけで実際の植林につながるというのが、経済の仕組みとはなんともふしぎ。
なにか気の利いた故事成語でも書けたらいいのだけど、拔苗助长・・・これじゃあぜんぜんだめですね。

ハリウッド版『忠臣蔵』 "47 ronin"

2008/12/14(日)
Keanu Reeves Will Topline 47 Ronin (comingsoon.net)
今日は赤穂浪士討ち入りの日。
2009年にハリウッド版『忠臣蔵』こと "forty-seven Ronin"が2009年にキアヌ・リーブズ主演で公開されるそうです。
"The Load of the Ring"のようなファンタジー性と"Gladiator"のようなバトルシーンをミックスした娯楽大作映画。

『忠臣蔵』のファンタジー??
恋愛シーン必須のハリウッドとしては「お軽&勘平」「力弥&小浪」の愛の挿話のこと?
(わたしが知る『忠臣蔵』は浄瑠璃と落語・・・)
それじゃあ『仮名手本忠臣蔵』。"Kana pattern"か。
いろいろ盛り込むと2時間では絶対終わらないし、"Red Cliff"みたいに2部大作?
『忠臣蔵』はエピソード多いし、前半はロマンス中心、後半はバトル中心、でまとめるのもおもしろいかも。『レッドクリフ前編』は長大予告編でカタルシスが得られなかったけど、『47 Ronin』が一人一人の独立したエピソードを十分に描けば前編だけで涙を絞れるし、それなら後編に足を運ぶ人も少なくないだろう、とプロデューサー気分。
だけど、タイトルの"ronin"が単複同形であるというのはfish やsheepのように個性のない浪人として描くつもり?『忠臣蔵』が200年を経ていろいろなメディアで膾炙されるのは、『三国志』のように一人一人にドラマがあるからだ。討ち入りバトルだけじゃあ感動にはいたらないでしょう。それなら観にいかない。(『レッドクリフ』のだれがだれやら分からない曹操軍のトラウマが・・・)

日本の女優さんも出るかな・・・誰だろう?

松の廊下は大回廊になるんでしょうか。
みんなすごい剣(「刀」ではない"sword")を持ってるんでしょうか。青緑に光るんでしょうか。
雪のシーンはブリザードでしょうか。
判官切腹・・・やりますよね(それで終わらなきゃ忠臣蔵じゃないし。)
第二次世界大戦後、歌舞伎復興に尽力したGHQのフォービアン・バワーズ(Faubion Bowers)は『仮名手本忠臣蔵』で「ハラキリのない判官は歌舞伎ではない」と物語どおりの上演を成功させ、日本の伝統芸能への理解を深めさせたそう。
『ラストサムライ』での切腹は、これは歌舞伎でも時代劇でもないハリウッド映画なんだと思わせるものだったので、やはりああいうスタイルになるのかな。もっと派手かな。

21世紀の今日、ハラキリの精神性は日本でさえどこまで共感得られるだろうかとも考えて、江戸は遠くなりにけりだなあ、と思う。(わたしだって分かっちゃいないけど)

47 Ronin
starrring: Keanu Reeves
screenwritor: Chris Morgan
studio: Universal Pictures

「熱情」と「ボーイズラブ」と「男装の麗人」

2008/12/6(土)
「ヒカルの碁」のアニメを見た。
「ヒカルの碁」が以前大ブームになったことは知ってたけど作品に触れる機会がなかった。
コミックスを買うとまた本棚がいっぱいになっちゃうし、まずはかさばらない動画をサイトで視聴。
物語そのものもとても魅力的でおもしろく、心情描写が丁寧。もっと早く観ておくんだった、と思った。

道を極めるために競うべき、魂から共鳴しあう相手の渇望、
相手の才能への憧憬、
ふさわしい存在に到達しない自分/相手への苛立ち。

「ヒカルの碁」の中学生男子らの純粋さは痛々しいほどで、少し角度を変えれば戦場の愛のドラマだ。
これまでボーイズラブというのがどうもぴんとこなかったけど、なるほど、そういうふうに作り変えたくなる向きもわかるなあ。



中国の武侠ドラマにはたびたび「男装の麗人」が登場するようで、これは、
・男女が自由に出会う場のなかった時代の恋愛をつくるための前提条件
・男性中心社会で女性が活躍する場の設定
・おとこくさいドラマに花を添えるため
と思っていたのだが、
「ヒカルの碁」以降、見方を改めた。

「武侠」は徹頭徹尾運命共同体としての、たいていは男同士の物語。
ともに正義を貫き、ともに道を極める。
熱情は純愛に昇華される。
「こいつが女だったらなあ」「おれが女だったら・・・」
と(作中人物とは限らず誰かが心の底で)思った途端に
「じつは・・・」と華麗な素顔が晒される。
「道理でおれとおまえが惹かれあったはずだ!」
その後は「男女のラブストーリー」。

「ヒカルの碁」といった少年漫画は男子同士で物語を描ききり、「こいつが女だったら」「二人が恋愛・・・」については奔放な読者に引導を渡す。

武侠劇は一見「男女の愛」を描いているようでいて、「じつはこいつが女で・・・」という妄想を「男装の麗人」という暗器を使って本編で展開する。「男同士の愛」を描くために、「男女」を演じさせ、そのために「女」に「男」を装わせているのではないか。

命張るまでの道なら男同士でも男女でもなんだっていいんじゃない、というところ。
倒錯しているのは「男装の麗人」ではない。
「不健全」「健全」とはなんなのでしょうね。

「レッドクリフ パート1」


2008/11/30(日)
「レッドクリフ パート1」を見てきました。
長いながい145分の予告編でした。(それを承知で見に行ってるんですが)
終わりに「この後パート2の予告編があります」と出て、
なんぼほど予告編ばかり・・・と。
オフィシャルサイトで予告編メーカーなんて遊びを提供してるのは、
悪い冗談でしょうか。

心情描写があっさりしてるのはハリウッドだから?
「三国志」をよく知らないので、作品にあれこれ講じる身でもないけど。
見ながら兵法を当てはめるのはおもしろかったです。
せりふがゆっくりなので思ったより中国語が聞き取れました。


「最強のデートムービー」というのがうたい文句だそうで
「三国志」好きの男子がデートに誘って、
「よくしらないけど金城武も出てるし、いいよ」と女子が応じて、
ビギナーでも分かりやすいように作ってあるのでとりあえず楽しめて、
その後お茶しながら「孔明がよかったね、趙雲もすてき。」と女子が言って、
じつは違うキャラクターびいきの男子が
「いや、ああいうんじゃないの、ほんとはさ.,」と熱く語っちゃって、
パート2の結末までしゃべっちゃって、
女子がむっとして、
気まずい雰囲気に。
それを
A.ディナーもしくはクリスマスデートで修正していつもの二人に。
B.これをきっかけに二人で「三国志」に仲良くはまる。
C.お互いの相容れない嗜好の違いに気づいてしまう。
そういうデートムービーじゃないかな。

(※画像のキューピー人形がキャンペーングッズだそうです。そういう世界観?の映画のようです。
「三国志」「赤壁」ではなくあくまで「レッドクリフ」という世界。
「三国志」大好きな人は、「まあ、これはこういう作品なんだよ」と自分に言い聞かせつつ家路につくのでしょう。)

「文媚儿までも」の語


▼4集
朱允はまとわりつく文媚儿を追い払おうとするが、彼女は夜の宮中巡回にも一緒に行くと言う。
なぜ文媚儿までが一緒に?

联袂而往(lian2mei4 er2 wang3)
手を携えて一緒に行く。
联袂が「(袂を連ねて)手を携えて、一緒に」の意。往、来と合わせて用いられる。

连媚儿往。
文媚儿が一緒に行くのも、しかたないね。

「沸き立つ湯」のひみつ


なにかを計画・思案している場面では、しばしば沸き立つ湯の湯気が映される。
水开得越热滚滚(re4 gun3gun3),人家想得越糊涂。

「滚!」はたびたび使われる「出ていけ馬鹿!」という罵り。
湯がぐつぐつと煮えたぎるほど、「出ていけ馬鹿!」加減も高まるという指標。
個々の事例の提示はちょっと時間がかかります。
细水长流(xi4 shui3 chang2 liu2)


「脱帽」「かんざし」のひみつ

▼12集
白雲飛に会う安寧公主は、文媚儿から髪飾りと腕輪も挿してもらう。

及笄(ji2 ji1)
髪をかきあげる笄(こうがい)を挿す年頃になる。成人する。

ところがこの髪飾りは独占欲と嫉妬心の強い文媚儿のものだったので、安寧公主もこの影響を受けて成長する。白雲飛から小龍蝦を大事に思っていると聞かされた安寧公主は、小龍蝦を捕獲する。

▼13集
小龍蝦は安寧公主に捕まえられて皇宮に来、皇上朱允に助けを求める。
朱允は小龍蝦の帽子を取って、彼女が大将軍の娘司徒静で、自分と白雲飛の義兄弟であることを明かす。

小龍蝦はここまで騒々しくふざけていて皇上と同じ壇上にまで上がってしまうが、帽子を取られて、すっかりおとなしくなる。
(このシーンは、まさに朱允が小龍蝦を男の子から女の子に脱皮させるシーン。
すでに小龍蝦の衣装は、最初の固い紫の上着にズボンではなく、薄い生地の緑の上着に袴となっている。
この後、小龍蝦としての力は衰える。文薔・剣南の結婚に向けて彼女自身が起こした行動の成果は・・・。)

いかにも騒々しいワルガキ、の小龍蝦ですが、


皇上朱允に帽子を取ってもらったら・・・


こんなにかわいくおとなしい司徒静になりました。


脱帽(tuo1 mao4)致敬 zhi4 jing4)
脱帽して敬意を表す。

脱帽致静(jing4)
脱帽して静かになる。脱帽して司徒静になる。


「伯仲之间」 


▼13集

阿蓮は司徒静に、白雲飛と朱允の二人とも司徒静のことを好きである事実を説明して、
阿连: 小姐,你说,这世上还能找到比白公子和皇上更出色的男人吗?

その夜、司徒静も阿蓮に、
司徒静:两个义兄都是出类拔萃(chu1 lei4 ba2 cui4)的人物。

まさに
伯仲之间(bo2 zhong4 zhi1 jian4)
実力が匹敵している。優劣つけがたい。
「伯」は兄弟の一番上、「仲」は二番目。(「叔(shu1)」が三番目、「季(ji4)」が四番目。)

その後皇宮で大哥白雲飛と二哥朱允に挟まれる伯仲之间の小龍蝦/司徒静は、
両方からの好意を感じて
受夹板儿气(shou4 jia1 banr3 qi4)
口語:両方からいじめられる、板ばさみになって苦しい目にあう。
主題歌「烦着呢」の雰囲気は、このわずかな時間。 甜蜜又苦涩♪ 
・・・甜蜜なんてあったかな?



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「道」にまつわる語

▼9集
小龍蝦が焼き鳥を買おうとしているところ、安寧公主が鞭を持って捕らえに来る。
小龙虾: 好嘛,冤家路窄(yuan1 jia1 lu4 zhai3)呀。
成語:かたきにはよく出会うもの。会いたくない人にはよく顔を合わすものだ。冤家路狭,狭路相逢。

焼き鳥屋は「走过路过不要错过」と呼び込みをしていた。 安寧公主まで呼び込んだ。

道でばったり出会うことが多いのは、小龍蝦と尹框/朱允。白雲飛と尹框/朱允。
朱允が出歩くと、たいていこのどちらかに出会う。
小龍蝦に会うのは仕組んだことだが(どうやってタイミングを図ってるのか)、白雲飛には出会ってしまう、のだ。やはり
必经之路(bi4 jing1 zhi1 lu4)成語:避けて通ることのできない道。
である。


▼13集
義兄弟三人で皇宮を歩きながら、白雲飛と安寧公主が結婚すればみな家族同然だ、と話す朱允に、白雲飛は皇宮は深遠だ、と聞こえよがしで独りごつ。

任重道远(ren4 zhong4 dao4 yuan3)
成語:任重くして道遠し。責任は重大で前途は遠い。

安寧公主との婚姻はまとまらないぞ、とほのめかす。でも、朱允はすかさず小龍蝦に皇宮に来るよう誘って、白雲飛の退路を断とうとする。
(朱允の戦略分析はまた別の機会に。)

误入(wu ru )歧途(qi2 tu2) 誤った道に踏み入る。
彷徨(pang2 huang2)歧途   岐路に立つ、選択に迷う。
走黑道(zou3 hei1dao4)暗い道を歩く。窃盗や強盗などの悪事をする。
白雲飛は夜歩きの癖を改めるべき。命に関わりますよ。

結局は
分道扬镳(fen1 dao4 yang2 biao1)
成語:各自が自分の選んだ目標に向かって前進する。それぞれ異なった道を歩む。
のだ。各个歧异(qi2 yi4)...

各个有歧义(qi2 yi4)?!
それぞれ二様多様にとれる語義・字義がある。異なった意味がある。
すでに何十という事例をみてきたが、この物語分析の仮説はまだまだ覆りそうにない。

「けち」「金」にまつわる語


▼5集
小龍蝦は思いのほかお金がかかるため十分に難民を助けられないくやしさを朱允/尹框に打ち明ける。
小龙虾: ...可这人哪,越是有钱心肠就越硬,都好像你一样。
铁公鸡! 一毛都不肯拔!
「お金があればあるほど、温かみがないものだ。あんたと同じ。 ケチ!毛一本も抜いてくれようとしない!」

物語の前半では「けち」守财奴(shou3cai2nu2),看财奴 だった朱允。
後半では、守 才女(cai2 nv3),看 才女 だった。
司徒静の髪の毛一本だって惜しい、と言うのだ。


ところで、斉国候が闇賭博でもうけた
不义之财(bu4 yi4 zhi1 cai2)不義の金、不正の金

これは、不宜制裁(bu4yi2 zhi4cai2) 制裁を加えるべきではない。



▼9集
皇上朱允は直訴に来た小龍蝦に「けち」「ぐずぐずしている」と言われる。

小龙虾: 你这个人就是抠门......你这皇上婆婆妈妈的。
朱允: 你说得对。这皇上就是婆婆妈妈的。

ちょっとすべりの悪いこの会話。
抠抠而搜搜,眼光紙背に徹して調べると・・・(使ったのは電子辞書だけど)

小龙虾: 你这个人就是抠搜......你这皇上抠抠搜搜的。
朱允: 你说得对。这皇上就是抠抠搜搜的。


抠搜(kou1 sou)1.けちけちする 2.ぐずぐずする
順口(語呂がいい)なのを言外に隠していた。


吹けない笛のひみつ


朱允は度々司徒静を想って"簫(しょう xiao1)"を吹くが、口を歌口にも当てず、吹いているようにはまるで見えない。
これは
滥竽充数(lan4 yu2 chong1 shu4)
成語:実力のないものがその職を埋め合わせていること。員数をそろえるために不良品を混ぜてごまかすこと。(斉の宣王は竽(う)という笙に似た楽器の音が好きで竽の奏者として300人を雇ったが、その中に竽を吹けない南郭先生が混じって俸給をもらっていたという故事から)

朱允は皇帝としての実力・能力が十分にあるか、というとそうではない。まだ笛をそら吹きしている奏者だ。
※たとえば、文韜の処遇の仕方などを参照:

(だからこそ、思い悩み行き詰まり、なんとかそれを打破しようとするし、そこから彼自身と物語の魅力が生まれるのだが。)


九连环解不了

2008/11/23(日)
辞書をひいたり、本を読んだり、中国語の問題集を解いたりしていると、
「これは"刁蛮公主"のあのシーンの仕掛けだ!」と気づくことたびたび。
それで付箋をつけたり電子辞書のメモリーに保存、とかするのだけど、
たびたび整理しても、電子辞書のメモリー1000件があっというまにいっぱいになっちゃいます。
尺幅千里。
今現在、記事1000件くらいすぐ書ける材料がゆうにあります。掘れば掘るほど見つかるでしょう。
ただ時間と能力が追いつきません。
この作品のために生きてるわけじゃないのにね。

トラックバックとコメント

bloggerではトラックバックが基本機能となっていないので、HaloScanというところから導入してみた。
そうしたら、以前にいただいたコメントが表示されなくなっちゃった!
データ上は消えていないのだけど。

画蛇添足だったかなあ。。。

「やきもち」の酒と酢のひみつ

司徒静をめぐって、朱允と白雲飛はやきもちをやく(吃醋)。
その醋(酢)は白雲飛が持ってきた白酒、貴州茅台酒だったようだ。

▼10集
白雲飛と司徒静が話しているところに朱允が酒を持ってきて三人で宴会をする。
朱允は、この酒を「白雲飛からもらった」と言い(皇宮に雲南から献上されたもの。この時点で朱允・白雲飛はまだ互いの素性を知らない)、それを聞いた白雲飛は酒を噴き出してしまう。

酬酢(chou2 zuo4) 主客が互いに酒をすすめる。
酬は客に酒をすすめること、酢は客が主人に酒をすすめること。
朱允は主人格で酒をすすめているつもりだったが、主客転倒、酒は酢 となっていた。
朱允吃白云飞的醋。
・・道理で。

白雲飛が飲むのは、もともと自分が持ってきた酒。
吃飞醋 (chi1 fei1cu4 傍焼きする)
こんな言葉が用意されていた。

朱允の酒を噴き出してしまった白雲飛を待っている痛々しい運命は・・・
敬酒不吃,吃罚酒
祝杯を断って罰酒を飲む。丁重な頼みを断って頭ごなしの命令に従うたとえ。
白雲飛が安寧公主との婚儀を断って、断頭台にあがることになるのは、これか。

司徒静はやきもちを焼かないだけでなく、そのたねをつくる。
静酒不啻(bu2 chi4)吃,酦(fa1/po1)酒。

罰酒の話はまた出てくるけれど、それはまたいつか。

小猫竟豹变!

[消息]撿回雪豹當貓養 牧民快被吃垮
←这不是只猫!
听说牧民养的两头雪豹吃掉了数多家鸡和十几只羊!
管中窥豹,好像草原斑猫吗? 饲养雪豹捉襟见肘,真是养虎遗患。。。


画像は下記の記事からとりました。http://www.tianshannet.com/news/content/2008-11/14/content_3437740.htm

中日对照经典歇后语

歇后语を調べていて、いいページを見つけた。
わたしがこの間買った本『中国語しゃれ言葉と縁起言葉』 もよかったけど、それに載っていないのもたくさんあって、「刁蛮公主」の謎の解明が少し進んだ。


沪江日语:中日对照经典歇后语
http://jp.hjenglish.com/detail_2177.htm

这张真是求之不得的网页啊!

14集 来生再見



14集

文薔から梁君卓との婚姻を逃れられないという手紙を受け取った剣南は絶望する。
司徒静は万人敵らと文薔を誘拐することにする。自殺しようとしていた文薔を諭し、逃げ出そうとしたところで文家の者に見つかる。文薔は小龍蝦らを放さないなら自分が死ぬと喉に刃を立て、小龍蝦らを放逐させる。文薔は文章のビンタを受け、自分は文家の恥だから罰として梁君卓に嫁がされるがそんな強制は無用だ、という。

司徒静は万人敵らに文家を見張らせる。文薔の尋常ならぬ激烈さに衝撃を受けた文章も文薔を監視させる。文韜は翻意を促すが、文章は梁君卓との婚姻を変えない。剣南は文薔を見に行こうとするが小龍蝦に止められる。

翌朝早く、文薔は家を抜け出す。文薔は来世で一緒になりましょう、と言葉を残して崖から飛び降り、剣南も次いで飛び降りる。
文薔と剣南は静修の弟子によって助けられていた。万人敵の言葉から、小龍蝦は剣南と文薔の婚姻を皇上朱允に取り持ってもらうしかないと考える。
朱允は、司徒静への思いを募らせ、白雲飛の彼女への思いは覚まさせなくてはならない、と考える。

-----
万人敵は小龍蝦が女の子と知ってアプローチするけど歯牙にもかけられず・・・


13集 ザリガニを召し上がれ



13集


司徒静は、白雲飛と朱允二人ともが彼女に好意を持っていることを阿蓮に指摘されるが、状況を受け入れられない。 白雲飛の意中の人が司徒静であると知って、朱允は嫉妬心を抱く。
翌朝朱允は文媚儿の床で目覚め、姦計に嵌ったことを悔やむ。

小龍蝦は、街中で安寧公主の配下の者に捕まり、宮中に連れて来られる。
安寧公主の使者が「昼食は小龍蝦」と白雲飛を迎えに来る。
小龍蝦と安寧公主は決闘になるが、小龍蝦は剣を放り出して逃げ、皇上が助ける。
朱允が小龍蝦の帽子を外して司徒静という正体と義兄弟三人の関係を安寧公主に明かし、文媚儿も盗み聞きする。
小龍蝦を助けに来た白雲飛は、小龍蝦は三妹でしかない、と安寧公主に答える。

安寧公主と文媚儿は、小龍蝦/司徒静に対して白雲飛と朱允が過分であることを不服とする。
朱允は白雲飛の前で、小龍蝦に皇宮で朱允の相手をするよう約束させる。
白雲飛は門の外で小龍蝦を待っていた万人敵らに、金を渡す。

小龍蝦が白雲飛と話しているところに阿蓮が来て、静修のところに連れて行く。
静修は白雲飛と会ってはならない、雲南国と朝廷が争ったら静には止められないと話すが、小龍蝦は良心に従って全力を尽くすだけだと話す。

梁君卓が結納品を贈り、文薔との婚姻が固められていく。

-----
恋する主人を冷静に分析する阿蓮、余裕で見守る陳林、一直線に諭す無双。従者もやはり主人の性格とそっくり。

参照:

「視」「目」にまつわる語


▼4集
万人敌: 你这目光短浅的小龙虾,
目先のきかない、先見の明のない
 ・・・斉国候の蔵に盗みに入ろうと誘う万人敵。彼こそ・・・です。
小龙虾: 会引起轩然打破(xuan1 ran2 da4 po1)的。
「大きな争い、大きな風波を引き起こす」
と一蹴します。



▼5集
皇上: (跟丞相)这百姓的问题你都视而不见(shi4 er2 bu4 jian4)
成語:見れども見えず。重視しないこと、または注意を払わないこと。

丞相: 皇上目光深远(mu4 guang1 shen1 yuan3),臣万万不及。
見識が深い。
目光远大(yuan3da4)。見識が広い。
目光如炬(ru4 ju4)見識が高い。目先が利く
目光如豆(mu4 guang1 ru2 dou4)見識が浅い、目先が利かない


皇上: 众位卿家,你们知道皇上最害怕的是什么吗?
就是闭塞视听(bi4 se4 shi4 ting1)啊。

*视听は書面語。
耳目闭塞
(報道が耳に入らず、新聞が読めない)情報が伝わってこない状態。


成語しりとり

2008/11/11(火)
Mandarin Note さんの
「成語しりとり」というCGIをこのブログに付けてみた。

http://mandarinnote.jugem.jp/?eid=419 の記事にソースあり。
自分のサイトやブログに貼り付けることもできるし、そういうのを持っていなくても書き込んでOK、だそう。

楽しそうです。こういうのうきうきします。
サイトや辞書で調べるタイムラグがあるから取り組めるかな?! と思うけど
バス遠足のゲームとかだったら、わたしは没辙です。

12集 貴妃の敵、公主の敵


12集

皇宮で司徒静と朱允は楽しく過ごしていたが、朱允が公用で離れる。宮中の規則に反して花を摘み花冠を作っていた司徒静を文媚儿が見咎め、規則を教えてやると連れて行く。
宦官順子の報告を受けた朱允は助けに行こうとした足を止め、小龍蝦と文媚儿の戦いを見守ることにする。
司徒静は文媚儿の企みを理路整然と撥ね退け、朱允は喜ぶ。
白玉/白雲飛の正体を聞いた司徒静はその足で白雲飛のところに行く。白雲飛は司徒静への好意を示すが彼女はそれを十分に理解できない。
文媚儿に臣下や客人への態度を朱允に厳しく叱責され、司徒静を逆恨みする。

白雲飛は皇宮に赴き、安寧公主が自分に好意を持っていることに戸惑う。 愛情のない政略結婚をしたくないと朱允に言うが、朱允は時間をかけて愛情を育めばいいという。
白雲飛は、破談にする道理を通そうと考える。白雲飛に侮辱され、小龍蝦と安寧公主が打ち合いになったら小龍蝦を助ける、と言われた安寧公主は小龍蝦を捕らえる指示を出す。
朱允は、白雲飛に好きな人がいるらしいと推測し、事情を探らせる。


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符合逻辑って新しい言葉じゃないかな? 逻辑(luo2 ji)はlogicから来た言葉だと思うんだけど。
まあ、女性がピアスしてる時代のお話ですからね。


お客さまが来たときのひとこと

▼10集

○急に知り合いが知らない人を伴って訪ねてきたとき
剑南: 陈总管,救命恩人。什么风把您给吹来了。
   这位是...
陈林: 这才是你真的救命恩人。
剑南: ....!!!!! 叩见吾皇万岁万岁万万岁。
・・・急に知り合いが皇帝を連れてきたらびっくりです。


○父母が不在であることを告げる。
剑南: 皇上,家父家母都进香去了。怕是一时三刻还会不来。
    我现在就派人去找他们。
・・・もちろん、皇帝には上座を勧めます。
顔見知りだからといって陳林に上座を勧めてはいけません。



○お客さまが来ていることを知らなかったとき その一
司徒静: 哥! 有客人到 也不告诉我。
・・・まず部屋の中を覗いてお客さまを確かめたほうがよいです。


○お客さまが来ていることを知らなかったとき その二
司徒静: 哥,妹妹不知道家里来了客人。情恕小妹告退。
・・・もしかしたら皇帝が来ていて、しかも女の素性がばれるということだってあります。

11集 お見合いは打ち合い


11集

安寧公主を万人敵らが捕らえたと知って、小龍蝦は急いで解放しに行く。
小龍蝦は安寧公主に取引を認めさせ安寧公主を解放し、公主は皇宮に戻る。
白雲飛は、今度は逃げられず皇宮に赴く。朱允は白雲飛が義兄弟の白玉と知る。朱允は義兄弟が妹の婿となることを喜ぶが、白雲飛は政略結婚はしたくないと朱允に話す。
安寧公主は白雲飛を見た途端、先日の打ち合いの男だと見て大勝負を繰り広げるが、白雲飛の強さに惹かれる。白雲飛は、安寧公主との縁談が破談になるだろうと、開放的な気分になる。

文章は、文媚儿の忠心の侍女として阿秀を皇宮に送る。
皇宮では、安寧公主の縁談を順調にまとめる算段をする。
剣南に会った文薔は文章からビンタされ許可なく外出することを禁じられるが、善悪の道理を言い返す。

立后を急かされる朱允は、相談相手として司徒静を皇宮に呼ぶ。
司徒静の分析を聞き、司徒静自身に関心を抱く。
文媚儿はその様子を阿秀から聞き穏やかではない。


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この頃の安寧公主は、朱允より年上に見える面立ちと大胆な言動が「皇妹?」と違和感あるのだが、次第にいい感じになるのでしばらく待つべし。


赤壁に臨む

11/9(日)
枕元の本を見つけた家族に「・・・今度は何を始めたん?」と聞かれた。
『(中国古典)役に立つ兵法120』という本である。(淑女が読む本としてはすごいタイトルですね。)


家族「『十八史略』とか『三国志』とかを読めばいいやん」
ちる「先にメソッドを勉強してから歴史を読んだほうが実践力が身につくやん」
家族「だから何をしたいねん」

ちる「三国統一」

気分は曹操です。

故事成語で経済学

故事成語で経済学のキーワードを説明する本があるそうだ。
たしかに、戦況、戦略の端的な説明に故事成語はぴったりでしょうね。
「中国語を勉強中のビジネスマン」にはおもしろいかもしれない。

内容は、アマゾンでの説明によると
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名言を楽しんで経済学を身につける。経済学の基本からゲーム理論まで、28の故事成語と身近なエピソードで楽しく知る「血沸き肉躍る経済学」。
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だそうだ。 血湧き肉踊るって^▽^

『故事成語でわかる経済学のキーワード 』(中公新書) (新書) 梶井 厚志 (著)2006年刊
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4121018710/econlovelive-22/ref=nosim


上記の中国語訳も刊行されているそうだ。
リンクの中国アマゾンのページに目次が紹介されていて、どの故事成語で何を説明しようとしているか、が垣間見れる。(わたしには分からないが・・・)
「成语经济学」作者:(日本)梶井厚志 译者:吴麒 2008年刊
http://www.amazon.cn/mn/detailApp?qid=1224004409&ref=SR&sr=13-1&uid=168-7142063-2599412&prodid=bkbk844341


■故事成語でよむ経済学@ちるちる■
拆东墙,补西墙(chai1 dong1 qiang2, bu3 xi1 qiang2)
東の壁を壊して西の壁を補修する。甲から借りて乙に返す。一時しのぎの手段をとる。
・・・要是一直这样的,最后必然要碰壁的!

坐吃山空(zuo3 chi1 shan1 kong1)
座して食らえば山も空し。働かずにぶらぶらしていれば財産の山も食いつぶしてしまう。
・・・プータローがお父さんに言われる言葉。

経済学か(^~^ゞ

你想到什么"经济学的成语"?

朱允の「不仁」に腹が立つ

唯酒無量,不及乱 の記事で10集の朱允の温情処置のきっかけを読み解いてから、 彼は本来どうすべきだったか、を考えていたのだが(一日中こればっかり考えているわけではないが)、『韓非子』や『兵法』を開いて考えれば考えるほど腹が立ってきた。
なんで、丞相は朝廷の意向に反して難民を追放し、事件の真相究明を怠り、刑部に公文書偽造させてたのに、口頭注意ですむのか。
なんで、文韜は難民の生活拠点に放火したのに、咎ないばかりか、土地まで得られるのか。
ここは信賞必罰でいかなくてはいけない。そうでなければ臣官人民にしめしがつかない。

今回の処置は全然効果ないし、裏目に出るし!
酔っ払いの思いつきなんてあかん!

もう、物語がさっさと片付いちゃってもよかったから、こんな手ぬるい処置をすべきではなかった。
この挿話は「仁で人を治められるか」という実験だし、
DVDの中のコメディなんだし、このお話の人たちはみんな将棋の駒のように思想や言葉を体現するよう動かされてるんだし、物語には起伏も必要だし、・・・そう言っちゃあ身もふたもないのだが。

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君子务本,本立而道生。
『論語』巻第一 学而第一:
君子は本(もと)を務む。本立ちて道生ず(しょうず)。

君子は根本のことに努力する。根本が定まると(進むべき)道もはっきりする。
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・・・ほら、『論語』の有子だってこう言ってる。
ほんとうに「仁徳」で統制していたらきっと違う結果になっただろうけど、上辺だけの仁をなぞるのは、良くない。


この憤りのエネルギーをしばらく中国語の勉強に注ごうと思います。

唯酒無量,不及乱

▼10集
文韜ら文家の者に対する皇上の処置について、陳林と皇上の会話
陈林: 皇上您恩威并济,软硬兼施,这对付文家的效果太好了。
皇上: 这我是灵机一动。你别说。
这招还是昨天喝酒的时候受到小龙虾的启发呢。

「昨日酒を飲んでいたときに小龍蝦から启发(qi3 fa:ヒント、示唆)を得た」と皇上は言うが、
小龍蝦と皇上は事件の話なんかしてなかったし、どこから启发を?? とその酒盛りのシーンを見直す。
見直すまでに、下記の事件を復習。

(※文家に対する処置の顛末※
文韜は無登記の土地に自分の家を建てようとしていたが、小龍蝦が先に難民のための安民村をそこに作ったことに腹を立て、安民村を焼き尽くした。文韜はその際矢を受けて重傷を負い、父文章は司徒剣南を文韜傷害の犯人
に仕立て、刑部に指示し偽の供述を作成させ重犯にしようとした。
事件の発端はそもそも、朝廷の難民救護の意向にそむいて丞相文章が難民を城外に追いやったことであり、小龍蝦の自主的な救護活動を文韜がつぶそうとしたことであった。

朱允は事件の真相を最後には明らかにし文家の罪状を暴露批判したものの、文韜には既に重傷を負っていることから今回は罪を科さなかった。
朱允は文家を訪問し、文韜に土地を与え、文章に司徒家と反目しないように伝え、文薔に結婚の際には大きな贈り物をすると約束する。文家は皇上の温情に感謝し、皇上への忠義を誓う。)



文家を訪問する前夜、朱允は酒を持って白雲飛・小龍蝦に会いに行き、三人で酒を酌み交わす。
三人の酒盛りでの会話。
白云飞: 三弟,你真是海量啊。
朱允: 什么海量啊。我看他根本就是饮驴。行路渴驴喝水也就是一样。
小龙虾: 你才是行路渴驴哪。
二哥,你带的酒肯定是世上最好的。不喝多,多亏啊。
白云飞: 三弟,你怎么知道你二哥这儿有好酒呢啊。
小龙虾: 全天下就他的好酒多。他是个酒鬼嘛。

「小龍蝦の飲みっぷりはロバ並み」、と言う朱允に対して、小龍蝦は「二哥だって。こいつほどいい酒をたくさん持ってるやつはいないよ。のんべえだもの。」と言う。

白雲飛はこの小龍蝦のせりふから、朱允が皇上だと後に確信する。
(皇上には献上の酒がたくさんあるだろう、酒での外交も仕事だろう。)

一方の朱允自身が連想したのは、以下の言に違いない。
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唯酒无量,不及乱。
『論語』巻第五 郷党第十:唯だ酒は量なく、乱に及ばず。

(孔子は)酒については決まった量はなく、いくら飲んでも乱れなかった(※「乱れるほどは飲まなかった」という訳もあるが、ここでは先述の解釈のほうが話に合う)。
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「仁」の現身のような小龍蝦とのおしゃべりで、朱允は「酒飲みの仁」に思い至ったようである。
文韜の体を気遣い、この事件は過ぎたこととして今後悔い改めることを信じていると話し、彼に土地の権利書を贈った。

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君子怀德,小人怀土;君子怀刑,小人怀惠。
『論語』巻第二 里仁第四: 君子は徳を懐い(おもい)、小人は土(ど)を懐う。 君子は刑を懐い、小人は恵(けい)を懐う。

君子は道徳を思うが、小人は土地(利・財力)を思う。君子は(徳の実践のための)法規を思うが、小人は恩恵を思う。
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・・・こうしてみると、一見温情ではあるが、冷嘲热讽(leng3 chao2 re4 feng3)を含む処置である。
彼の今回の「仁」が本当に適切なものであったか、この後の物語の展開から見るとなんとも・・・。

ではどうすればよかったか、という話はまたいつか。
(ここで丸く治めちゃうと物語が終わってしまうので、まあ仕方ない。)

文媚儿

文章丞相の娘。現太后の姪で、皇上の従妹にあたる。

皇后に次ぐ貴妃の地位にあり、皇后の地位を耽々と狙う。
少女のころに皇宮に入り、皇宮が彼女の生活の全てである。
文家の隆盛と自身の安定のために、父文章と密着し、太后に取り入る。

皇上を兄のようにも慕っていたが、皇上が彼女を避けるようになるにつれ性格はますます苛烈になっていく。自分自身の問題を司徒家の排斥とすり替える。


●陰陽五行では
高く結い上げた髪の毛は、黒い山であり、陰陽五行では「水行」になる。
しかし、水行の神獣「玄武(亀と蛇が一体になっている)」はもたない。
目元の特徴のあるメイクは、性格だけでなく、「亀」を表現している。
二股に分かれて頬にかかる鬢は、「蛇蝎」を表している。
亀と蛇蝎では、玄武にならない。

●図像から読むと
中国の古代神話では「大地を甲羅に乗せた亀が歩いて大地を揺らす」とした。
文媚儿が動き回ることで、宮中に問題が生じる。
「蛇」の安寧と組むことで、玄武の力を一時得て司徒静を抑えつけるが、安寧が離れてからは、単なる「亀」になる。
亀は「人前で交わる」淫らなものともされ、色仕掛けで朱允に迫る。

10集 本当の姿


10集

皇上が司徒家を庇護していると思い込んだ文章は文媚儿とともに太后に訴える。
太后は二人を伴って皇上を問いただし、朱允は事件の真相を話す。文韜を今回は温情処置する。
静修は、白雲飛が司徒静に女性として愛情を持っていると気づく。静修は善心のある白雲飛を殺すまいと以前は思っていたが、彼の殺害を決める。
白雲飛から司徒静に贈られた腕飾りは、チュルク国王・・・⇒前王朝皇帝⇒前王朝皇后(司徒静の母) に渡ったものだという。この腕飾りには、男が女に送ると男はその女の心に囚われる、という力があるという。 *この腕飾りの謂れは物語の最後まで関わってくる。
白雲飛は皇宮に挨拶に行くべき日、仮病を使って行かなかった。

その夜、静修らは夜道で白雲飛を襲おうとするが、小龍蝦が現れたため撤退する。
小龍蝦と白雲飛が話しているところに朱允が現れ、三人で酒盛りをする。朱允は持ってきた酒を「白雲飛からもらった」と言う。
白雲飛は尹框の正体を怪しみ、皇帝だと気づく。
朱允は、文家を訪問し、文韜に土地を与え、文章に司徒家と反目しないように伝え、文薔に結婚の際には大きな贈り物をすると約束する。
司徒家を訪れた朱允は、司徒静として女の子の格好をしている小龍蝦に対面し、心から離れなくなる。

万人敵らは、小龍蝦のせいで街は平穏になり自分たちまで善人になってしまった、とこぼす。
彼らは、男装して小龍蝦をつけていた安寧公主を見つけ袋に入れて捕まえる。

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剣南・文韜の事件が片付いて、物語が次の段階に移行していく。
おたがいの正体がばれるこの回、「怪不得」「竟然」が頻出。





参照:
唯酒無量,不及乱朱允の「不仁」に腹が立つお客さまが来たとき

「刁蛮公主」の時代設定

2008/11/7(金)
以下の記事によると、「刁蛮公主」は、唐代を舞台にした物語なんだそうだ。
innolife.net=チャン・ナラ、中国主演ドラマが韓国で放映

現王朝2代皇帝の朱允は、唐の皇帝李世民のこと?!
平安の世を築いた名君と名高いそうだけど、わたしの中では、
「李世民は、兄を殺して皇帝になったし、史誌も自分がかっこよくなるように書き換えた悪いやつ」(雑な先入観。殺人や史実の歪曲も、現代とは感覚がちがうだろうけど)なので、どうもピンとこない。
朱允に兄がいて、殺してたのか。。。

「李世民は、カッとなって馬鹿な行動を取ることもあったが賢臣の意見に素直に耳を傾け政治をすすめた」
そうだ。それは納得。


李世民の皇后は、長孫皇后という人で、
wikipediaによると、
"隋の右驍衛将軍長孫晟と高氏のあいだの娘として生まれた。609年、長孫晟が世を去ると、母方の伯父の高士廉を頼った。611年、唐国公李淵の次子の李世民の妻となった。618年、唐が建国されると、秦王妃に立てられた。626年、玄武門の変の後に皇太子妃となり、李世民が即位すると、皇后に冊立された。
皇后は礼法を尊び、いにしえの善悪を鑑として自らを律したとされる。・・・"
で、物語の設定に重なるところもあるし、ふうん、そうなのか・・・。
まあ、おてんばなのは「物語」。

李世民なら帝王学「貞観政要」。・・・読もうかなあ。
わたしはいったい何をしたいのか。
マニアまっしぐらか。我怎么闹到这样的地步...

借刀杀人

借刀杀人(jie4 dao1 sha1 ren2)
成語:刀を借りて人を殺す。第三者の力を借りて相手に害を及ぼす。

と『小学館中日辞典 第1版』にはあったが、『兵法三十六計』によると、もっと複雑高度なテクニックをもつ勝戦の計だそうだ。
(いよいよ分析が微にいり細を穿つようになってきました・・・ほどほどに取り組もう、と思ってるのですが。)

「借刀殺人」という手法には二つの側面があるという。
一つは、自分の力は使わず、第三者の力を利用して敵をやっつける。即ち「人のふんどしで相撲を取る」。
もう一つは、より高度なテクニックで、第三者ではなく敵そのものの力を利用して敵をやっつける。


一つ目「第三者の力を利用して敵をやっつける」として、
この物語でシンプルな例は、
▼2集 
朱允が、陳林の刀を借りて、白雲飛に斬りかかる。
▼3集
小龍蝦が、白雲飛の刀を借りて、九連環を割る。
・・・となる。

少し複雑になると、
▼2集
朱允が、「九連環が解けるまで会わないという約束」を借りて、文媚儿を遠ざける。
▼4集
文媚儿が、太后の言葉を借りて、朱允に「九連環が解けるまで会わないという約束」を破棄させる。
・・・となる。

さらに、
▼5集
朱允は、小龍蝦の夜盗に乗じて、斉国候の財宝を摘発する。
朱允は、斉国候の財宝を用いて、難民問題を解決する。
・・・となる。


二つ目の「第三者ではなく、敵そのものの力を利用して敵をやっつける」の例は、
▼2集
 斉国・雲南国の勢力を弱めるための小龍蝦の提案:
斉国候・雲南王それぞれにたくさん子どもを産ませて領地を分封し、一枚岩の軍力を弱める。
▼5集
朱允は、斉国候の財宝を公然と国庫に収めさせることで、斉国候の財力を弱める。
・・・などなど。


対照の美学のある中華圏らしく(というのか。詩でもなんでも一対をピタッと決めるのが多い中国文化)、
対になる挿話が見つかるのもおもしろい。

まだまだ出てきます。
もっと込み入った「借刀殺人」もあり、
さらに「借刀殺人」ならぬ、「借刀生人」という技もあり。

今日はここまで。 是卖关子的。

9集 皇上への直訴


9集


文韜は意識を回復し、自分を射ったのが小龍蝦でも剣南でもないことを話す。しかし、文章は剣南が自分が射ったという供述を認めているため方向を変えないつもりだ。
小龍蝦は、文薔から剣南が文韜を射ったのは自分だと供述したことを知り、皇上に再審願いの直訴をすることを決める。
小龍蝦は護国寺参詣のための皇上の行列に馬で突っ込み、皇上が義兄弟の尹框であることを知る。小龍蝦は事件の真相を話し、朱允は小龍蝦が剣南の弟であると理解する。
朱允は文家の公私混同跳梁跋扈を阻止すべく剣南の事案は皇上自身の処理とし、剣南は一般牢で待遇よくするよう指示する。

安寧公主は、打ち合いになった相手が小龍蝦だと突き止める。街中で捕まえようとするが、小龍蝦は逃げ切る。
文媚儿は太后に、司徒青雲が開国忠臣であることをかさに皇上を威圧して剣南の処置を改めさせた、文家が世間に侮られる、と話す。太后は刑部を呼びつける。刑部は以前の剣南の供述に基づいて説明し、太后は剣南を免職流刑にすることを指示する。

剣南への処刑の告示を知った司徒静は、小龍蝦として皇宮に乗り込む。小龍蝦の行動を知って静修は自首しようとする。だが、秋心の機転で矢と文書のみを置いて、静修が囚われることは免れる。
朱允は小龍蝦の訴えから刑部に事情を問いただす。朱允は刑部からの物証を確認し、剣南を無罪釈放する。

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皇上が義兄弟だったからよかったようなものの、ほんと、小龍蝦の行動は「天不怕地不怕」だ。



参照:
空耳中国語「最低や(さいってーや)」「向こう見ず」にまつわる語「けち」「金」にまつわる語「道」にまつわる語

「向こう見ず」にまつわる語


▼8集
相手が皇妹の安寧公主と知りながら、打ち合いをした白雲飛に、
小龙虾: 为什么还要拔那母虎的毛呢?
「どうしてメス虎の毛を抜くようなことをしたのさ」と言っているが、

以下の言葉は小龍蝦向け頻出用語。

鲁莽(lu3 mang3)
莽撞(mang3 zhuang4)
不顾前后(bu4 gu4 qian2 hou4)

いずれも「向こう見ず」の意。

蛮干(man2 gan4)

向こう見ずなことをする。無鉄砲なことをする。

天不怕地不怕(tian1 bu4 pa4 di4 bu4 pa4)
俗語:天をも地をも恐れない。怖いものなし。向こう見ず。


彼女はそそっかしい(粗心大意,冒失) 軽率な(轻率)わけではない。
財布を忘れるサザエさんではない。
仁を通すためなら、普通の人がひるむような命がけのことをやっちゃうのが小龍蝦である。

8集 公主の都入り



8集

剣南が小龍蝦の身代わりに捕われた。司徒夫人に問いただされた司徒静は自分が小龍蝦だと答える。
文章は、朱允に逮捕の件を報告する。太后と文媚儿が厳罰をせきたてるが、朱允は、剣南が忠臣の跡継ぎでもあり、文韜の回復を待って真相を確かめた上で処分を進めると明言する。
司徒静は静修に、剣南が処分される苦悩を話し、静修は自分が助けとなると約束する。

一方、皇妹の安寧公主が都入りする。
妻子に暴力をふるっていた男を懲らしめようとしていた小龍蝦を安寧公主が見咎め、小龍蝦と安寧公主が打ちあいになる。捕らえられそうになった小龍蝦に白雲飛が気づき、救い出して逃げる。
朱允は、安寧公主に白雲飛との縁談を聞かせる。
白雲飛は安寧公主と結婚しないことを心に決め、(既に司徒静という正体を知った)小龍蝦を好ましく思っていると小龍蝦に話す。

文韜の怪我は回復に向かい、朱允は当案件を刑部処理に任せる。
文章は、刑部に自分の意図に沿って処理を進めるように指示する。
剣南は、牢に面会にきた文薔に、事件の原因は文韜が安民村への放火であるという事実と小龍蝦の正体を話す。
朱允は剣南が押印した供述書で事件の原因への供述が曖昧である点を指摘するが、文韜の放火の事実を隠した説明を受け、重犯牢に剣南を移すよう指示する。


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白雲飛は「我听说安宁公主也是一个找茬惹祸的人(彼女も因縁をつけて厄介ごとを引き起こす人だそうだ)」と言っているが、皇家からの釣書にはそこまで書かれていたのか?(なんて正直な家だ。まあ、取り繕っても仕様がないが。)それとも、その名声は雲南国にまでとどろいていたのか?





参照:
「女」にまつわる語「問題」「解決」にまつわる語「向こう見ず」にまつわる語

たいやき


2008/11/5(火)
家の近くにおいしい鯛焼の出店が来ている。
毎日買いたいぐらいだが、毎日鯛焼を買うわけにもいくまい。

・・・と書いて、どうして毎日はだめなのか、と思う。
そういうわけで、冷凍保存のために5匹ばかり買いに行く。

なんだか内田百閒みたいだ。

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そして買ってきた。「耳」というのか、ふちのパリパリがいっぱいついている。
中国では鯛にあまりなじみがないので、鯛を吉祥魚とするわけではないそうだ。




記号論

2008/11/5(火)
「刁蛮公主」は記号論での説明が適しているのか、と気づく。
たとえば、「小龍蝦」は「龍」が抱えるもの(中華圏の「龍」の図像や故事成語)を含み、しかも作品の中で人物の行動や思考に表れているから、しっくりくる。「龍」という語の聴覚心像と「龍」の概念が表裏一体となって「龍」を表す記号が成り立つ・・・あってるかな?

ソシュールのシニフィアンとシニフィエ・・・ランガージュ・・・記号の恣意性・・・聞いたことのある言葉を並べてみたけど、自分では説明できません。さっぱり分かりません。


ひとこと言えるのは、この作品は一筋縄じゃいかないってこと。
記号論は、またいつの日か・・・。
どなたか分かる人がいたら、整理していただきたいです。

7集 小龍蝦指名手配



7集

文韜の夜襲を、剣南、白雲飛、静修らが防ぐ。文韜は樹上の静修の矢を背面から受けて重傷を負う。白雲飛は、剣南の言葉から小龍蝦が司徒静という女の子であることを知る。
白雲飛は難民のためにさらに資金と土地を提供することを約束する。
朱允は文韜のために医師や薬を手配し、事件の究明を進める。
司徒静は、自分を助けた覆面の人が静修だと疑うが、静修は否定する。
街には小龍蝦を手配する張り紙が張られる。万人敵らは、小龍蝦は遠くに行ったといううわさを流す。
文丞相は小龍蝦が司徒家に関連があると突き止めるが、剣南は小龍蝦の代わりに自ら捕まる。


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小龍蝦の安民村は、静修や白雲飛の援助も得た。NPO法人が篤志家や企業の援助を得て活動を安定させていくようだ。





参照:
「女」にまつわる語

6集 文薔の婚約



6集 

朱允は斉国候の財宝の一箱を司徒静らに届ける。
静修は、司徒静が難民を助ける善良な心を持っている公主であることを喜び、彼女を陰で支えていくことを決める。皇上暗殺には時期尚早という。
剣南は、文薔を妻として迎えたい意思を両親に伝え、父司徒青雲は文家に赴く。文丞相はこれを拒否し、文韜は青雲に侮蔑の言葉を浴びせる。司徒静は剣南の縁談がつぶされたことを怒り、「相手の面子をつぶすのは文薔と剣南を結婚させること」と言う。
文韜は、父が自分より剣南を評価しているので一層剣南を拒否する。小龍蝦が自分が目当てとしていた土地に難民のための村(安民村)を立てたことを知り、文韜は崩壊しようとする。
朱允は、文媚儿に上に立つ人の心構えを説くが、文媚儿は聞く耳を持たない。
梁君卓は文薔が文家の娘であることを知り挨拶に赴き、婚約の了承を得る。文薔の相談を受けて剣南は司徒静を探しに行く。
文韜は安民村を夜襲し、村を焼いて小龍蝦を殺そうとする。


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司徒静と阿蓮が牢に入れられたことに対し、父の青雲は花瓶を手で持って頭の上に掲げさせるという罰を与えていた。文媚儿の頭の上に花瓶を載せさせる罰より危なくないけど、青雲は「花瓶を割ったら今度は戸棚に換えるぞ!」と。
司徒静には今から戸棚を掲げさせたほうが。





参照:
「弓」「矢」にまつわる語

「弓」「矢」にまつわる語


▼6集
文迅: 咱们就光天化日明目张胆地杀过去,不会有人说老爷闲话吧。
文韬: 傻瓜都知道这是是晚上才能做的!
文迅: 是...我都被打昏头了!
小龍蝦を白昼おおっぴらに殺すとばれるので主人の文章にも文句が行くという侍従の文迅に、文韜は「夜殺すに決まってるだろう!」と言い、夜の襲撃を決行する。しかし、結局自身が矢を受けることになる。

明抢易躲,暗箭难防(ming2 qiang1 yi4 duo3,an4 jian4 nan2 fang2)
俗語:白昼の槍は避けやすいが、暗闇の矢は防ぎがたい。あからさまな攻撃は避けることができるが、陰からの襲撃は防ぐのが難しい。成語:明抢暗箭正面攻撃と闇討ち。
・・・暗箭は小龍蝦に向けるはずだったのに。


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箭在弦上,不得不发(jian4 zai4 xian2 shang4 bu4 de2 bu4 fa1)
俗語:矢が弓の上にあれば、放たざるを得ない。
余禄:「不得不爱」で注目された弦子のファーストアルバムタイトルは「箭在弦上,不得不爱」だった。愛の矢ですね。


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放冷箭(fang4 leng3 jian4)
俗語:冷たい矢を放つ。陰でひそかに人を傷つける。
・・・しかし、文韜が安民村に放った矢は火のついた熱い矢だった。 静修の矢も炎の紋が入っていて、結局は明るみに出る矢である。


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鸟尽弓藏(niao3 jin4 gong1 cang2)
成語:鳥がいなくなると弓はしまわれる。ことが成功すると力を尽くした人が顧みられなくなるたとえ。
「飞鸟尽,良弓藏」。「狡兔死,走狗烹」、「敌国破,谋臣亡」も同義。

日语的拟态语和拟声语/ 擬態語・擬声語

wiki 擬態語・擬声語表現一覧

http://zh.wikipedia.org/w/index.php?title=%E6%97%A5%E8%AA%9E%E7%9A%84%E6%93%AC%E6%85%8B%E8%AA%9E%E5%92%8C%E6%93%AC%E8%81%B2%E8%AA%9E&variant=zh-cn

日本語で擬声語・擬態語を使っているからといって、中国語に訳すときに必ずそれに対応する語を入れる必要もないと思うけど。でも表現の幅は広がりますね。

羊頭狗肉なシチュー

2008/11/3(月)
昨日作ったシチューは、ビーフシチューのルーを使ったけど、中の肉は羊肉。
挂羊头,卖狗肉ならぬ、
挂牛肉汤,吃羊肉。

まあまあおいしかったけど、やっぱり、ちょっと違和感が。
トマト煮にすればよかった。

成語検索

中華 状元への道
充棟 読書日記 さんから教えてもらった。

成語検索サイト
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金石网  http://www.kingsnet.biz/Idiom/
成語はほとんどみつかります。

詩詞世界 http://www5a.biglobe.ne.jp/~shici/
日本語サイトですが古代から現代まで詩と詞を網羅しています。

德馨工作室 http://www.dxgzs.com/
これは面白い。 小説、詩、笑話なんでもあり。 お気に入りです。
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見始めると止まらなくなるのが困ったところ。

成語辞典サイト追加
http://chengyu.teachercn.com/

「朽木は彫るべからず」


▼3集
名乗りのあとで
小龙虾: (跟白云飞说)那你是孤陋寡闻,朽木不可雕也。
お前は学が浅いから教えようがないよ。

・・・暗に朱允/尹框を認めています。

孤陋寡闻(gu1 lou4 gua3 wen2)
成語:学識が浅く見聞が狭いこと。

朽木不可雕也
成語:朽木(きゅうぼく)は彫るべからず。朽木は柱にならぬ。堕落しきって教育の施しようがない。怠け者やろくでなしは使い物にならない。
朽木粪土(xiu3 mu4 fen4 du3)

・・・原典の論語の逸話のように、小龍蝦は「学のある朱允はその言葉から行動を信じられるだろうが、学のない白雲飛については言葉をきいて行動も見守らないと」と言いたいのかも。

以下、『論語』から。

宰予晝寝、子曰、朽木不可雕也、糞土之牆、不可朽也、於予與何誅、子曰、始吾於人也、聽其言而信其行、今吾於人也、聽其言而觀其行、於予與改是。

宰予(さいよ)、昼寝(ひるい)ぬ。子曰わく、朽木(きゅうぼく)は雕(ほ)るべからず、糞土(ふんど)の牆(かき)は朽(ぬ)るべからず。予(よ)に於てか何ぞ誅 (せ)めん。子曰わく、始め吾れ人に於けるや、其の言を聴きて其の行を信ず。今吾れ人に於けるや、其の言を聴きて其の行を観る。予に於てか是れ を改む。

『論語』公冶長第五:
宰予が勉強を怠けて昼寝をした。孔子は、
「腐った木は彫ることができない。ごみ土の垣根は上塗りできない。どうやって宰予を叱れば良いだろうか?私は始め人の言葉を聞いてその行動を信じた。しかし今は人の言葉を聞いたらその行動を見守るようになった。宰予のことで改めたのだ。」

「己を達せんと欲して人を達す」


▼1集 ~ 7集
小龍蝦は、住むところを追われた難民を救いたいと思い、
イカサマ賭博でもうけた金を彼らに与え、雲南国王子白雲飛から盗んだ財宝で粥棚を作り、住居・食べ物・医薬までまかなう安民村を作る。
皇上朱允は当初、行政対策を文章に任せていた。しかし、小龍蝦の資金調達のための盗みに乗じて摘発した斉国候の財宝を「国家のため、難民援助のため」と斉国候に認めさせ、大鉈を振るった。これによって難民の生活が安定する。加えて、小龍蝦の行動に共感した離恨天の静修らが資金援助し、白雲飛がさらに荘園と資金を提供する。

ここに投入されているのは、チンピラ万人敵らの人力であり、斉国候の裏賭博資金や軍資金であり、軍力を誇る雲南国財源による膨大な結納金であり、反朝廷組織:離恨天の資金と人力であり、朝廷の行政力である。彼らは小龍蝦の行動の結果、図らずも善行に加わることになる。

一見小龍蝦は他人の懐や力を利用しているようだが、実際には、苦しむ人を救いたいという善心から生じる行動で、少なからず彼らの心を動かし難民の助けに加わらせているのである。
別の混乱を引き起こすため誤解されている小龍蝦の人柄や行動を、皇上朱允は安寧公主や太后に説明する。説明するシーンそのものはないが、全体を見通す彼の説明は、「小龍蝦は難民のために村まで作った」という単純なものではないはずである。

▼3集
粥棚で人を助けているのは、粥棚を仕切る万人敵や、白雲飛の財宝を金に換え難民に分けた小龍蝦自身だけでないと小龍蝦は言う。
小龙虾: 其实做这善事的也不算是我了。
白云飞: 那是谁?
小龙虾: 他(白云飞)!
白云飞: 我?
    ・・・・・你那我家的珠宝做善事吗? 这些珠宝换成粥最好了。能救一些人命,太值了。

以下、『論語』から。

子貢曰、
如能博施於民、而能濟衆者、何如、
可謂仁乎、
子曰、
何事於仁、必也聖乎、堯舜其猶病諸、
夫仁者己欲立而立人、己欲逹而逹人、
能近取譬、可謂仁之方也巳。

子貢が曰く、
如(も)し、能く博く民に施して、衆を濟(すく)わば、何如(いかん)。
仁(じん)と謂うべきか。
子、曰(のたま)わく、
何んぞ仁を事とせん。必らずや聖か。
堯(ぎょう)舜(しゅん)も其れ猶(な)お、諸(こ)れを病(や)めり。
夫れ仁者は己れ立たんと欲して人を立て、己れ逹せんと欲して人を逹す。
能く近く取りて譬(たと)う。仁の方(みち)と謂うべきのみ。

※子貢=孔子の後継者、財産家として知られる。
※堯(ぎょう)、舜(しゅん)=ともに古代の理想的な聖天子。

『論語』[雍也第六]:
門弟の子貢が尋ねた。
「もし、多くの人たちに恩恵を施して救済することが出来たら、仁といってもいいですか。」
孔子が答えた。
「仁どころか、聖と呼んでいい。堯や舜のでさえ、なおそれを悩みとされた。
そもそも仁の人は、自分が立ちたいと思えば人を立たせてやり、
自分が行きつきたいと思えば人を行きつかせてやって、
他人のことでも自分のことのようにひき比べることができる。そういうのが、仁の手立てといえるだろう。」

「筆」にまつわる語




▼1集
笔扫千军(bi3 sao3 qian1 jun1)筆が千軍を一掃する。

笔下超生(bi3 xia4 chao1 sheng1)判決・評価を下すときに情けをかけて手心を加える。
・・・朱允は秋心の襲撃を筆一本で避けたことで、離恨天のクーデター軍を無に帰したともいえるし、筆を宙に飛ばしている間に秋心を屈させて、「筆の下で生きのびた」ともいえる。後半の偽勅旨事件でまた生きてくるモチーフだ。朱允の筆は無敵の朱筆だ。

・・・一方、2集で白雲飛と打ち合いになった小龍蝦は、扇に筆筒を載せて飛ばし、筆を踏んでひっくり返っていた。「笔超生」とはいかないのである。

投笔从戎(tou2 bi3 cong2 rong4)成語:筆を投げ捨てて従軍する。文人が軍人になる。

一笔勾销(yi1 bi3 gou1 xiao1)成語:一切を帳消しにする。ご破算にする。

一笔抹杀(yi1 bi3 mo3 sha1)成語:(成績や長所を)軽々しく全部否定する。抹殺する。

口诛笔伐(kou3 zhu1 bi3 fa2)成語:口頭や文章で他人の罪状を暴露し攻撃すること。
・・・10集で文韜・文章の罪状を暴く朱允はまさにこれ。

笔走龙蛇(bi3 zou3 long2 she2)筆が龍蛇のように迅速に走る。
・・・朱允の迅速な勅旨には龍の小龍蝦/司徒静、蛇の安寧公主の助けが欠かせない。

笔挺(bi3 ting3)1.ピンとのびている、(立っているさまがまっすぐである)2.(衣服にしわがなく)きちんとしている、パリッとしている *笔挺は直立したもののみを形容、笔直(bi3 zhi2)は水平方向のものも形容する。

伏笔(fu2 bi3)(文章構造の)伏線を張る。

命笔(ming4 bi3)筆を執る 执笔,下笔

曲笔(qu1 bi3)1.〈古代〉史官などが真相を隠し事実を歪曲した記載
         2.(文章の単調さを避けるための)曲折のある筆法

涉笔成趣(she4 bi3 cheng2 qu4) 筆を下ろすなり趣が出る。絵画や詩文が巧みである形容

大手笔(da4 shou3 bi3)文章の大家。(金を使う)気前がよい、(仕事の)度胸が大きい。

下笔千言(xia4 bi3 qian1 yan2) 筆を下ろせば千言。文筆の才に長けている。


中国語学習を再開

2008/11/1(日)
2年くらい前にやりかけていた問題集「中国語ワードチェック」(駿河台出版社)のCDを聞いて聞き取り。
当時1ページ30分以上かかったのに、10分もかからない。聞き取りと語彙力がついたような気がする。
「刁蛮公主」にはまっていた1ヶ月の成果は大きい。
ここでお勉強に切り替わるといいのだが、物語の分析をやめられない。『韓非子』・・・それはともかく、
この問題集を11月中に一通り終わらせること。




クールビューティー

2008/10/30(木)
「中国語でクールビューティーって冻美女?冰美女?」と聞かれて
「冰雪美丽」なんてどうかな? とぱっと思いつけて嬉しかった。
ネットでちょっと調べてみたら、そういう使い方もアリ、のようである。

「冰雪聪明,美丽善良」な刁蛮公主(とDVDパッケージの作品紹介に書いてある)のおかげだ。



空耳中国語「最低や(さいってーや)」

2008/10/29(水)
ドラマ「家有儿女」の空耳日本語をブログで読んだ。
35歳からの独学中国語会話-中検2級 さん から。

↓記事のなかの場面状況を読んでから聞くとなおさらそう聞こえます^▽^
http://chstdy.exblog.jp/8504029/
音声データ(それぞれ約30秒、約1分のWMP) 
ムチャクチャや~」 
おいしそうに・・・ お、お米

もにゃっと聞き取れない音は、その状況にあった似た音の言葉を脳内で見つけるとそれに変換されちゃうんだなあ。


「刁蛮公主」の空耳日本語。
9集:
小龍蝦(司徒静)が兄司徒剣南の無実を皇上に直訴しに行ったところ、皇上が结排兄弟の尹框であるとわかる。小龍蝦は事件の真相を説明し早く釈放してくれるよう頼むが、慎重な処理のため時間がかかると言われて「最低や(さいってーや)」

The Mischievous Princess Ep. 9 (part 2 of 5)

7:18あたりをチェック。「还呆呀!」が「さいってーや」に、聞こえませんか?
DVDでスローにして聞いてもやっぱりそう聞こえちゃう・・・

水则载舟,水则覆舟(荀子)

▼5集
皇上朱允は、難民を軽んじる文章丞相を厳しく叱責して、

朱允:
百姓离乡背井,哪来的家 又怎么齐呀?
平民流离失所,这过怎么叫治呀?
天子脚下还有难民在哀号呢?
这天下又怎么平呢?

圣人早就说过;
民为贵社傻次之君为轻哪。
这民才是天下的根本。
民心都没了,天下就没了。
君王是船,百姓是船下的水。
这水呀,虽然能让船浮起来,
可涌起的波涛也足以把船给打翻呢!


『荀子:王制』に以下の言あり。
君者舟也,庶人者水也。(jun1 zhe3 zhou1 ye4, shu4 ren2 zhe3 shui3 ye4)
水则载舟,水则覆舟。(shui3 ze2 zai4 zhou1, shui3 ze2 fu4 zhou1)
君は船なり、民は水なり。水すなわち船を載せ、水すなわち船を覆す。


朱允、かっこいいですね。
でも、文章みたいな性格の人を人前で叱責すると逆恨みされるのは当然。
ここんとこはまだまだです。

5集 宝の中身を知るには


5集

朱允は、難民問題を軽視する文丞相を厳しく叱責し対策を要請するが、文丞相は城外に彼らを追いやっただけで却って難民の環境はひどくなる。
難民らを助ける村を作ることにした小龍蝦は、資金のために斉国候の宝を盗むことを思いつく。斉国候の宝に警戒心と関心を持っている朱允/尹框は、それをそそのかし、小龍蝦らを助けることを約束するが、当日の盗みには参加しない。
小龍蝦らは盗みの当日、斉国候の私兵につかまりそうになるが、官兵が来て盗品全てを差し押さえ、小龍蝦らを牢に入れる。朱允は斉国候の宝物の中身を把握し、司徒静らを刑部に命じて解放する。
朱允は、司徒静の解放を大将軍司徒青雲が要請していたことから、小龍蝦が司徒家と関係のある人物であることを知る。
朱允は、朝廷で斉国候の兵器や財宝をたくみに朝廷に納めさせ、戦利品として一箱を小龍蝦らに届ける手配をする。


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白雲飛/白玉と朱允/尹框が小龍蝦が作っている安民村に来ていたが、白雲飛はまたもや先に帰ったようだ。今度は何の用だ? 歯医者の予約か?




参照:
水则载舟,水则覆舟(荀子)「仁」にまつわる語「欺く」「盗む」にまつわる語「善」にまつわる語借刀杀人「けち」「金」にまつわる語

「問題」「解決」にまつわる語


▼4集
梁君卓からの求婚を知って、
司徒静:哥,你看我像认命的人吗?
认命(ren4 ming4)運命とあきらめる
・・・いや、だれもそうは思わない。
余談ながら、問題にぶつかったとき「司徒静」は「咱么办呢 咱么办呢」と混乱するが、「小龍蝦」は絶対そんなことは言わない。



司徒静への求婚のために司徒家を訪れた梁君卓を、門番に扮した司徒剣南が応対する。
门面话(men2 mian4 hua4)
俗語:門口店先の応対。または、体裁はよいが問題を解決しない話。
・・・これはいけません。この草率(cao3 shuai4:ぞんざい、いいかげん)な対策で、問題が後々まで尾を引くのである。

▼8集
阿连: (跟司徒静说)你别再节外生枝了!
节外生枝(jie2 wai4 sheng1 zhi1)
成語:中心的な問題のほかに別の問題が生じる(または提起される)たとえ。

水落石出(shui3 luo4 shi2 chu1)
成語:水落ちて石出づ。物事の真相が明らかになる。

严办(yan2 ban4)
厳重な処分をする



善罢甘休(shan4 ba4 gan1 xiu1)
成語:ことを荒立てずに穏便に済ませる。ただで済ませる。
否定文に用いることが多い。
罢休は「やめる、投げ出す」(これも否定文に用いることが多い)
・・・この物語の頻出成語。


4集 求婚辞退の作戦は



4集

梁君卓は一目ぼれした相手を司徒静と勘違いし、司徒静に求婚しようとする。司徒静はそれを是非阻止せねばと企む。
相談を受けた万人敵は、司徒静が人を襲う奇病を患っているという風評を梁君卓に聞かせる。
夜の司徒家。剣南は門番の格好をして、梁君卓を后院に案内する。吸血鬼を装って襲ってくる司徒静に恐れをなした梁君卓はあたふたと逃げ出す。司徒青雲は、梁君卓から婚姻辞退願を受け取り、それを受け入れる。
朱允は司徒青雲に臣と藩王が姻戚関係を結ぶことを望まないことを伝えるが、既に破談となったことを聞いて安堵する。

文媚儿は太后を通して朱允に九連環の約束を破棄させる。
朱允は付きまとう文媚儿を少々懲らしめようとし、夜の宮中巡回に付いていった文媚儿は足を痛める。朱允が彼女の足の手当てをしたことを知って、文媚儿は朱允の愛情を確信し皇后になるのは自分だ、と思い込む。

一方、斉国候が大量の荷とともに入城する。万人敵は小龍蝦に盗みをもちかけるが、小龍蝦は断る。
 
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梁君卓は眼线(スパイ)まで使って調べたのに、どうして文薔と司徒静を間違えたんだろう。





参照:
「問題」「解決」にまつわる語「女」にまつわる語借刀杀人「文媚儿までも」の語

中国語コーパス

関西大学現代中国語コーパス

http://china.fl.kansai-u.ac.jp/index.aspx

これは便利!人民日报,维基から検索して用例検索。古典はヒットしないけど。

わたしの中国語が未熟なので、日本語がついてるサイトを見つけたい。

ブログを作成

2008/10/26(日)
昨日、このブログを公開した。読む人いるのかな・・・。
自分自身が、「刁蛮公主」にあんまりはまっちゃったので、どこかに書き留めておきたくなった。
一粒で二度三度といわず、何度も楽しめるドラマなので、飽きて気が済むまでやるつもり。
かなり語彙レベルが高いドラマである。5kmも走れないのにウルトラマラソンのスタートを切ってしまった気もする。
それでも、中国語が上達したらいいなあという下心あり。
(見はじめの頃(1ヶ月前)と比べると、たしかに聞き取りもできるようになってきてるし(少しは)、中国語のタイピングも辞書を引くのも速くなった。これだからやめられない。)



化名(仮名)のひみつ



▼3集
小龍蝦、白玉、尹框の名乗りの場面から。


こういうシーンは、吹き替えにしても字幕にしても難しそう。
だいたい説明しにくい字だ・・・尹框って。

最初に朱允は「毒壁虎(毒イモリ)」 白雲飛は「血蜘蛛」と名乗るが、
「そんなのでたらめだからダメだ!」と小龍蝦に却下される。

朱允が「白虎」である白雲飛の「虎」を含む「毒壁虎」で、
白雲飛が「朱雀」である朱允の「朱」を含む「血蜘蛛」だと、
陰陽五行の世界でつじつまが合わなくなるから。


●白雲飛⇒白玉
白云飞: 在下姓白,名玉。黑白的白,美玉的玉。
「姓は白、名は玉。白黒の白に、美しい玉の玉だ。」

「黑白,美玉」には「善悪、美人」の意味を含んでいるが、
同じような意味のことを言うにも朱允は「秋水伊人 匡扶正义(涼やかな人、正義を助ける)」なのだから、
ほんと、朱允の頭のキレに太刀打ちするのはたいへん。


小龙虾: (笑)什么美玉红粉的。娘娘腔。你一个大男人,还不叫“白娇娘”算了。
「なにが美人紅さすだ。お嬢さんかよ。男だったらむしろきれいな生娘だろう」
(このせりふの「叫」は、「白嬌娘という名だ」というより「白嬌娘を呼ぶ」という意味で使われていると思う。小龍蝦・・・この頃はほんとチンピラだ。)

「白娇娘」って
最初よく分からなかったけど、「生娘」のことである。
「白地(手付かずの土地)」のように「白」には「何も加えない、そのままの、処女の」の意味がある。

小龍蝦、ぽんぽん突っ込む。小龍蝦に完全に負けている白雲飛。
それに笑ってしまう朱允。笑いのツボが合うようだ。

小龍蝦、朱允に向かって
「彼が生娘の白玉で、お前はキズモノの彩霞(朝焼けの赤く染まった雲)じゃあないだろうな。」
朱允が一瞬ひいてますョ。。。


●朱允⇒尹框
それで、朱允の名乗り。

朱允: 我叫尹框。秋水伊人的伊傍边去掉个人,
这个匡扶正义的匡,在家个木头边啊。
「俺は尹框。「秋水伊人」の「伊」から人べんを取って、「匡扶正义」の「匡」に木へんを付ける。」

「秋水伊人 匡扶正义(涼やかな人、正義を助ける)」
と、小龙虾の行動をたたえながら、
「去掉个人、再加个木头边」
とは、涼やかな「不是人(人でなし)」に「木头(木っ端)」をくれてやる
なんてことばが、背後に隠れてるようにも聞こえる。

匡に木を加えて、というところは、「独木不成林,我来加个木头」
そんな気持ちの表れかも。。。

自分は「君」たるに口足らずな「尹」、
「木头人(朴念仁)」 ならぬ木头王「框」
という皇上の自虐的な思いもあるような。。。

小龍蝦もどこから突っ込んでいいかわからないので、
耄无创意,淡而无味。
つまんない名前!と岩から降りてしまう。この勝負、朱允の勝ち。


二人の名前は
白玉: 白与(いたずらに与える)、白欲(いたずらに欲す)
尹框: 阴诓(陰で騙す)、阴匡 (陰で支える) 
の音に通じ、彼女に対する態度や行動を暗示するようにも感じられる。


●「順口」な小龍蝦

朱允に「小龍蝦も本当の名前じゃないだろう?」と言われて
小龍蝦は「もともと"龍少侠"だったけど、こんなふうにおっかないから、人が"少"の字を取っちゃった。それで"龍蝦"になったんだ」と説明する。

朱允「小龍蝦のほうが龍少侠よりずっとごろがいいな」
白雲飛「この小龍蝦は食ったらわりと口当たりがいいぞ」
「ごろがいい」も「口当たりがいい」も「顺口(shun4 kou3)」。
小龍蝦自身の口ぶりは「順口」のもうひとつの意味「口から出任せ」のようで、
朱允の突っ込みは「小龍蝦のほうがよっぽどでまかせだな。」にも聞こえる。

「でまかせ」荒業の小龍蝦、「語呂」で巧みにこねくり回す朱允、「味覚・本能」で食らいつく白雲飛。
こんなところにも三人の行動・思考傾向の一端が表れる。

参照:
化名(仮名)から見る成長の鍵


★注意書き


○ このブログは、「刁蛮公主」の物語分析ブログです。「刁蛮公主」の中身をすっかり語ってしまうので、これからドラマを見る予定の人にはこのブログをあまり読まないことを勧めます。
○既にドラマをご覧になったことのある方は、当ブログの穿った分析にあきれてくださることと思います。
○中国語学習中の方は、故事成語などの語彙をカテゴリー別に分けてまとめているので、よろしければご参考ください。 そんな方いるかな?
・・・じゃあいったいどなたがここを見るのでしょう??? 

○ ドラマはyoutube にも"The Mischievous Princess"のタイトルで繁体中国語版があるので、お試しはそちらから。
The Mischievous Princess Ep. 1 (Part 1 of 5)

http://jp.youtube.com/watch?v=lWM7hwK5Ai8

○じっくり楽しむなら、ぜひDVDで。DVDは簡体中国語字幕版もあります。
○人物名、語句、話数(○集)などのブログ内串刺し検索には、画面上部の検索ツールの活用を。作品紹介の各話ごとにも関連記事リンクあり。

白雲飛登場にまつわる語



▼1集

雲南国王子 白雲飛の登場シーンは、可笑しすぎるくらいに派手で「なんで!?」と思っていたのだが、
この数分のシーンに彼の性格やこの後の行動、物語の別の場面を暗示する成語や俗語が満載されている。 (以前上海で買った「俗語小辞典」が大活躍。)
(まだ完全に把握できていない。请多指教。
*2008/11/05一部追加。*2008/11/23さらに追加。)


○小龍蝦と阿蓮は、万人敵らに梁君卓の追剥を任せて、後からそれを巻き上げようと計画する。
守株待兔(shou3 zhu1 dai4 tu4)
成語:切り株の番をしてウサギを待つ。自分では努力しないでうまい収穫にありつこうとする。
坐山观虎斗(zuo4 shan1 guan1 hu3dou4)
俗語:山上に座して相打つ虎が倒れるのを待つ。利益を横取りしようとして他人の争いを傍観しているたとえ。


○夜道を白雲飛が馬で走ってくる。
一条路走到黑(yi1 tiao2 dao1 zou3 dao4 hei1)
俗語:まっしぐら。頑なに自分の視点や行動を維持する。


○白雲飛は風呂敷包みを背中に背負っている。
背包袱(bei1 bao1fu2)
俗語:荷を負う。行動の負担、責任を負う。


○白雲飛は崖に行き当たって、手綱を引き締め馬を止める。
悬崖勒马(xuan2 ya2 le2 ma3), 优未为晚(you2 wei4wei2 wan3)
俗語:断崖の手前で馬を止めればまだ遅くはない。破滅の寸前で心を入れ替えればまだ助かる、という戒めの言葉。
ほんまに、白雲飛に思いっきり叫んでやりたい言葉。


○侍従の無双が「時間も遅いから早く行きましょう」と促す。
・・・人の忠告を聞くべき、という言葉があるはず。忠告を聞いてもむだ、というのも。

○万人敵らは「老虎屎」(トラのウンチ)の壺を抱えて、梁君卓を待っている。
これを馬にぶつけてびっくりさせ、落馬したところ荷を奪おうと計画している。
匹夫之勇(pi3fu1 zhi1 yong3)
成語:匹夫の勇。血気にはやるだけの向こう見ずな勇気。
蚍蜉撼大树(pi2fu2 han4 da4shu4)
諺:アリが大木を揺り動かす。己の力の小ささを知らないたとえ。身の程知らず。

○梁君卓と侍従が馬を駆って通り過ぎる。万人敵らは寝てしまって気づかない。
笨鸟先飞(ben4 niao3 xian1 fei1)
能力が劣った鳥は周りに遅れることを恐れて、他の人より先に飛び立つ。
骏马每驮痴汉走,巧妇常伴拙夫
俗語:駿馬はつねに痴漢を駄して走り、巧妻はつねに拙夫に伴う。
足の速い馬はとかく愚か者を乗せて走る。よい妻はとかく愚夫につれそう。
・・・この言葉の呪いがずっと効いていくのだ、とわかった。


○梁君卓の速い馬に追い抜かれた白雲飛と無双が並足で同じ道を通る。
我行我素(wo3 xing2 wo3 su4)
成語:他人がなんと言おうと一向に頓着せず、自分の今までどおりのやり方でやる。

重蹈 梁君卓的覆辙(zhong2dao3 fu4zhe2)
成語:二の轍を踏む。前の人と同じ失敗を繰り返す。
・・・前车之覆,后车之鉴(qian2che1 zhi1 fu4, hou4che1 zhi1 jian4)前車の覆るは後車の戒め、だけど、ここで梁君卓はひっくり返らなかった。

○梁君卓ではなく白雲飛であることに気づかず、万人敵らは攻撃する。
打马虎眼(da3 ma3huyan3)
目を欺く。目を掠める。にせものをつかませる。


○熊二がウンチ爆弾を放つが、一発目は万人敵の顔に。
○ウンチを当てられた白雲飛の馬は驚くが、白雲飛は高く飛び上がって落馬しない。


○流れ弾のウンチが無双の馬に当たって、無双が落馬する。
城门失火,殃及池鱼(cheng2men2 shi1huo3, yang3ji2 chi2yu2)
成語:(城門の火事を消すのに堀の水を使ったため、魚がみな干上がる)思わぬ巻き添えを食う。


○万人敵ら三人が小斧を持って白雲飛に襲いかかるが、白雲飛は素手でかわす。
赤手空拳(chi4shou3 kong1quan2)
成語:徒手空拳。武器を持たずに素手で立ち向かう。


○万人敵は人間爆弾になって白雲飛に飛び掛る。
(次第にやり方が派手になる、とか、増長する、のような言葉があるはず。)

○白雲飛は人間爆弾をかわし、無双がまたも飛ばされ石で頭を打つ。
雪上加霜(xue3 shang4 jia1 shuang1) / 祸不单行(huo4 bu4 dan1xing2)
成語:災いは重なる。泣きっ面に蜂。
一而再,再而三(yi1 er2 zai4 zai4 er2 san1)
三番两次(san1 fan1 liang3 ci1)
俗語:二度あることは三度ある。何度も何度も。繰り返し。

○2発目の人間爆弾の万人敵を、白雲飛は上から押さえつけ、地面に大きな穴を開ける。
弄巧成拙(nong4 qiao3 cheng2 zhuo1)
成語:うまくやろうとして却ってしくじる。

吃一堑,长一智 (chi1 yi2 qian4 zhang3 yi2 zhi4)
俗語:一度しくじればそれだけ賢くなる。


○万人敵を助けようと穴に飛び込んだ巴虎と熊二は、白雲飛に蹴り飛ばされる。
飞蛾投火(fei1 e2 tou2 huo3)
成語:飛んで火に入る夏の虫。自ら滅亡を招く。飞蛾扑火。 飞儿・・・?
自投罗网(zi4 tou2 luo2 wang3)
成語:自分から進んで網にかかる。飛んで火にいる夏の虫。

○白雲飛は万人敵に剣を持って飛び掛るが足をすくわれる。
摔跟头(shuai1 gen1tou)転ぶ、失敗する

○万人敵は白雲飛もろとも網にかかってしまう。
上下入れ替わりながら争う白雲飛と万人敵。
作茧自缚(zuo4 jian3 zi4 fu4)
成語:カイコがまゆを作って自分をそのなかに閉じ込める。自縄自縛。

○白雲飛は上になったとき背後から頭を殴られ、気を失う。
给敌人以可乘之机(ke3 cheng2 zhi1 ji1)
敵に「付け込まれる隙」を与える。

○その間に、万人敵らは風呂敷包みを丸ごと盗みとんずらする。
金蝉脱壳(jin1 chan2 tuo1 qiao4)
成語:もぬけの殻になる。人知れず姿をくらます。
・・・たびたび出てくる兵法。


○巴虎と熊二は、小龍蝦が待っていると言うが、万人敵は叫做不起早的鸟儿是没有虫吃的」と言ってそのまま逃げ出す。
俗語:朝寝坊の鳥は虫を食べられない。The early bird catches the worm.
・・・いやいや、早く起きなかったためにお目当ての虫を食べられなかったのは、万人敵ら自身だよ。

○林の中で早速包みの中を確認する三人。


○小龍蝦らは、狼の声まねをして、万人敵らを驚かす。
鸡鸣狗盗(ji1 ming2 gou3 dao4)
成語:『史記:孟嘗君伝』鶏の鳴きまねをして人を欺いたり犬のように者をこっそり盗む者のおかげで難を逃れた故事から。物まねやこそ泥のようなくだらない才能の持ち主。また、くだらない才能でも役に立つことがあるたとえ。
・・・5集で、小龍蝦らの夜盗に加担して斉国候の蔵を摘発しようとする皇上は苦言を呈されて、「鶏鳴狗盗は美談なのに」と言い返してます。


○万人敵は、木にぶつかり、木の上から仮面をかぶって降って来た小龍蝦に目をむき、背後を走る影をますます怖がって、あわてて包みを放り出し逃げ出す。
守株待兔が大成功。
杯弓蛇影(bei1 gong1 she2 ying3) 
成語:杯中の蛇影。疑心暗鬼して周章狼狽するたとえ。
・・・4集で梁君卓が吸血鬼?におののくのもこれ。

甩掉(shuai3 diao4)包袱 重荷(になる人・物事)を打ち捨てる。
掉包儿(diao4 baoer1)物をこっそりすりかえること

坐地分赃(zuo4 di4 fen1 zang1)
成語:(盗賊のかしらなどが)何もせずに盗品の上前を取り上げる。ピンはねする。「坐山分赃」


○小龍蝦と阿蓮は、包みを開ける。 小龍蝦は腕飾りに目をつける。


○一方、意識を取り戻した白雲飛は包みがなくなっていることに気づき、人生最大の屈辱だと言い、広い城都の中でも見つけ出し、絶対に腕飾りは取り返す、と決心する。
千方百计(qian1 fang1 bai3 ji4)
あらゆる手段を講じる。百方手を尽くす。

○白雲飛は盗まれた包みのことで頭がいっぱいで、頭を怪我した無双のことはほったらかし。

「龍」にまつわる語


来龙去脉(lai2 long2 qu4 mai4)
成語:(龍が来て、跡を残す) 事のいきさつ。原因と結果。

頻出成語。たいていの事件に「小龍蝦」がからむので、ほんとに「龍の通った跡」が残る。
何より朱允の心に。


彼には、
来龙去脉(lai2 long2 qu4 mo4)
と読んでやりたい。
脉脉(mo4mo4)は「ものをいわずに目またはそぶりで意思を伝えるさま」(書面語)

脉脉含情(mo4 mo4 han2 qing2)
黙ったまま思いを寄せる。思わせぶりな様子をする。


朱允が夜の后院で愛をささやくシーンでは、
笼络(long3 luo4)篭絡する
という語が浮かんできます。




「義兄弟」「友」にまつわる語


▼3集
小龍蝦、朱允、白雲飛が義兄弟の契りを交わす場所。
木々は緑の葉を付けていたが、きっと春には桃の花が咲く。

桃园三结义(tao2yuan2 san1 jie2yi4)
『三国志演義』桃園(とうえん)の誓い。劉備・関羽・張飛が義兄弟の契りを桃園で結んだという故事(史実ではないそうだが)。


断頭に処せられる白雲飛を救うために、司徒静が命がけで偽勅旨を示すのは、もちろん
刎颈之交(wen3 jing1 zhi1 jiao1)
『史記:廉頗藺相如伝』刎頚の交わり。その友のためならくびを斬られても後悔しないほどの真の交友。
だからである。

白雲飛が断頭台に上がる気持ちは、これとは違いますが。
そして、26集でなんと「吻静(wen3 jing1)之交」になっていた。

断金の交わり(断金の契り)
金蘭の交わり(金蘭の契り)

二人(ににん)心を同じうすれば、その利、金を断つ。
同心の言は、その臭(か=香)蘭の如し。(孔子の言による)
深い友情のもとに同心一体となれば、硬い金属をも断つことができる。
また、まことに心を同じくしていけば、その互いの言葉は蘭の香りのごとく芳しい。

「女」にまつわる語


▼4集
縁談が来ていることを聞かされた司徒静は、「わたし、お嫁になんて行かない。ずーっとこのうちにいるの」と言います。(家にいると息が詰まるくせに。。。)

女大不中留,留下结怨仇(nv3dà  bùzhōngliú  liúxià  jiéyuànchóu)
俗語:成人した女子が嫁に出ないとうらみの種をまく。

・・・「年頃の女の子」が家にいるといかにすさまじいかという、「刁蛮公主」は恐ろしい教訓物語のドラマである。(とくに兄の剣南にふりかかる困難の多さといったら・・・)
8集で「結婚なんてやだー」とごねる安寧公主に、朱允もおんなじことを言っていた。安寧公主の結婚話が進まないと朱允にも困難多し。

そういえば、文媚儿と文薔の落ち着きどころが定まらない文家もたいへん。


▼7集
剑南: 妹妹,你真是巾帼不让须眉

巾帼(jīn guó)不让须眉(xū méi)
俗語:頭巾(女性の比喩)も鬚と眉(男性の比喩)に負けない。男勝りである。

・・・ここでは、司徒静のことをさしているが、その師匠の「黒頭巾」静修も「女丈夫(nv3 zhàng fu)」。
司徒剣南を文韜殺害の冤罪で処刑しようと目論む「鬚と眉」(文章)を負かすのは、静修の物証である。でもそんな彼女も「鬚なし」の皇上と白雲飛にはなかなか勝てない。


十干から読む物語の流れ

五行「木火土金水」のそれぞれに陰陽が組み込まれ十干が当てはめられた陰陽五行思想は、自然の移り変わり、人間の内面的外面的変化、政治や道徳など、あらゆるものの変化と不変の全てを説明する、という。
十干「甲乙丙丁戊己庚辛壬癸」は、植物の成長過程と万物の生成変化を重ね合わせたものである。
この十干と、「刁蛮公主」の物語の流れを重ね合わせると以下のようになるだろう。



(以下、物語の核心・結末に触れる部分あり)

(木行の陽)甲:
種子がいまだ固い殻に覆われている「万物符甲」の状態。

小龍蝦は、善心を備えているが、自分勝手ないたずら心も多く持つ。
朱允は、宮中朝廷に問題を抱えている。
白雲飛は、不服ながらも父王の命で入城する。

(木行の陰)乙:
固い殻を突き破る「万物生軋(しょうあつ)」の状態

小龍蝦(甲殻に覆われている)、九連環(匣に入っている)を割る。
小龍蝦の善心に触れ、小龍蝦、朱允、白雲飛が義兄弟の契りを果たす。

(火行の陽)丙:
柄のように芽を現す、成長の著しい「万物炳然(へいぜん)」の状態

朱允は小龍蝦の力を借りて斉国候の財宝・兵器を国庫に入れ、尹框として安民村にも資金をもたらす。
安民村が文韜に燃やされる。
剣南は、小龍蝦のためにあえて冤罪を受ける。

(火行の陰)丁:
勢いさかんな「万物丁壮(ていそう)」の状態

朱允は、静修の物証で剣南の冤罪を晴らし、斉国候の財宝で難民問題を解決する。
剣南・文薔の愛情が高まるが、文薔は梁君卓との結婚を強いられる。

(土行の陽)戊:
盛大に生い茂る「万物茂盛」の状態。

安寧公主が入城する。
朱允・白雲飛は、司徒静に愛情を抱く。
文薔・梁君卓の結婚話が進む。その結果剣南・文薔が心中、駆け落ちする。


(土行の陰)己:
成長が極まり万物みな紀う(ととのう)状態。

安寧公主の助力あって、剣南と文薔が結婚する。
安寧公主は、司徒静と友情を結ぶ。
剣南は、将軍に任命される。

(金行の陽)庚:
成長がここで改まり、花が散り実を結ぶように変化する「万物改更」の状態。

白雲飛が安寧公主との婚約解消を申し立てて死刑の宣告を受け、司徒静が偽勅旨を出して牢に入るが、
朱允の過去の勅旨によって解放される。
朱允と司徒静が愛情を結ぶ。
離恨天は脱獄、毒酒でクーデターを企てるが失敗する。

(金行の陰)辛:
実をつけた状態からまた新しい世界へ至る「万物新生」の状態

白雲飛が軍撤退の条件として、安寧との婚約解消と司徒静との結婚を提示する。
朱允が司徒静を手放す。
白雲飛が安寧を見つめなおす。


※(水行の陽)壬:
新たな種子が固い殻に次の命を育む、懐妊「万物任養」の状態

司徒静は、雲南国軍の本営で実の伯父と出会う。
朱允は、司徒静を皇后にすることを約束する。

※(水行の陰)癸:
種子が芽吹きのときを揆る(はかる)「万物揆度」の状態

静修は皇上暗殺・内乱を図る。
朱允は、退位の意思を告げる。
白雲飛は、父王に軍撤退を進言することを決意する。

※水行の陽と陰は、物語では順序が入れ替わり、癸→壬と推移するようである。

(全ての要素は連続しており、ある段階で次の段階が頭をもたげていたり、前の段階が尾を引いていたりするので、事象の位置のとらえかたはこの限りではないと思う。)




「仁」にまつわる語


小龍蝦は仁徳の篤い子だが、それもそのはず。
中身は虾仁(xia1 ren2) エビの剥き身である。
吓人(xia4 ren2) だけど。


▼4集
文媚儿: 难民? 什么是难民啊?
朱允: 朱门酒肉臭啊...
この語句に「路有冻死骨」と続く。「朱門(金持ちの家)には酒や肉が腐るほどあまっているが、道には凍え死んでいる人がいる」

为富不仁(wéi fù bù rén)
成語:金持ちには血も涙もない。
・・・白雲飛も梁君卓もお金持ちです。


▼5集
小龙虾: 真是小白脸靠不住
ほんとに男前は当てにならない。

斉国候の蔵に盗みに入るのを手伝うといったのに、爽约(shuǎng yuē)(約束に背く)尹框のことを小白脸(男前)と言って罵る。

巧言令色 鮮なき(すくなき)かな仁
『論語』口先上手の顔よしは仁の心に欠ける。
と言いたいのである。

「賊」にまつわる語


▼1集
偷书不为贼(tou1 shu1 bu4 wei2 zei2)
書を盗むものは賊と見なさない。(文人が書を盗むのは学問のためだから見逃す)

・・・朱允が書の最中に秋心に襲撃されるがこれをかわし放逐するのは、まさにこれ。

ちなみに、
笔扫千军(bi3 sao3 qian1 jun1)
筆が千軍を一掃する。

笔下超生(bi3 xia4 chao1 sheng1)
判決・評価を下すときに情けをかけて手心を加える。

という語もある。
この秋心の襲撃を筆一本で避けたことで、離恨天のクーデター軍を無に帰したともいえるし、
筆を宙に飛ばしている間に秋心を屈させたのも、「筆の下で生きのびた」ともいえる。
後半の偽勅旨事件でまた生きてくるモチーフだ。
朱允の筆は無敵です。




贼走关门(zei2 zou3 guan1 men2)
どろぼうが逃げてから戸締りをする。あとの祭り。贼去关门。

・・・梁君卓との結婚式の当日に文薔の脱走を手伝う小龍蝦。文薔の花嫁衣裳を着替えさせながら、万人敵に「戸を閉めて!」と言います。その後逃げ出すが、これだと"关门贼走"。だから、脱走成功とはならなかった。

化名(仮名)から見る成長の鍵

「刁蛮公主」は、仮の名の「現在の姿」から本名の「本来の姿」になっていくまでの三人の成長物語が軸である、といえる。


いくつもの問題に憂いていた朱允は真の皇帝として独り立ちし、 素朴な善心のあるチンピラとして自分を生かしていた司徒静は冷静な判断のできる一人の女性となり、利己的だった白云飞は一人前の男として動き出す。

その鍵を握るのはそれぞれの名前である。



▼司徒静と小龍蝦が全く異なる名前であるように、沈着冷静な司徒静と豪胆活発な小龍蝦は姿や性格も全く違う人格である。
小龍蝦が「司徒静」という「一人の女性」としての人格になるには、いくつもの脱皮を経なくてはいけない。

小龙虾:本来我叫龙少侠,你看,我这么威猛就知道了,可人们偏把那个少字去掉了。所以剩下龙虾了。
もともとの仮名は「龍少侠」だったという。「少」が取られて「龍侠」、転じて「龍蝦」になり、上に「小」を改めて付けたのだと。

小龍蝦の名が人によって作られたなら、その名を捨てるのも、本人の意思ではない力を借りなくてはならない。その命名そのものがでたらめでまかせゆえ、荒唐無稽で破滅的なイニシエーションを経なければならない。その過程は命がけである。何度死線を踏んでいることか。本人だけでなく、周りの人の命まで巻き込んでの大変身である。
(視聴者からすると、最初の痛快な小龍蝦の印象が強すぎるので、司徒静になっていくスピードについていけないところもあるのだが・・・)


▼皇上朱允は、「君」の字を分解した「尹框」を自分で名乗る。
この名前からは一見「君」は見えてこない。「尹框」としての彼は、皇上の視点を忘れずに行動するが、「混混づきあい」の面から見ると、友達を裏切るし利用するし非情である。(ろくでなしという点では「りっぱな混混」ともいえるが。)
未完成な「尹」に「口」を付け、「框」から「木」と「匚」を取ることで、「君王」になる。
彼はなにを得て、なにを外していくべきか。
手の込んだ仮の名を組みなおしていくのもまた、自分の努力であり、手の込んだ方法である。

また、朱允の「允」の字は、「充」に足りない。
朱が充つるには、なべぶたが要る。それは、小龙虾の「龙」の字にある「ヽ」と「一」である。
(小龍蝦の「龙」の字から 「ノ」を九連環に振り下ろし、「ヽ」と「一」を朱允に与えると、「龙」の字から残るのは「儿」だけである。最後の場面で司徒静が子どもっぽくなってしまうのは、「小儿」になってしまうから。
それで「虾(蝦)」はどこにいったかというと、安寧公主と司徒静に食べられていた。)



▼さて、雲南国王子白雲飛である。
「皇」に通じる「白王」(白の下に王を置くと「皇」になる。だから、朱允は雲南王に脅威を抱くのだ。)
の「王」には一つ多い「ヽ」の多い「白玉」。朱允が白雲飛を「普通の人ではない」と見なすのも道理である。
このひとつの点「ヽ」は彼のかたくなな心だろう。
これを手放したとき、彼は雲南王たる資格を得る。
(「ヽ」は、消失するのではなく、違うところにいくのだがそれはまた別記。)

しかし、小龍蝦にその名を「白嬌娘」とからかわれたように、女の子のように純情すぎる。仮名と本名が姓の白で通じるように、彼の性質は一貫しているが、その一貫性が本来求められる方向とは違うのである。もう、あさってしあさってよりはるかかなたの方向を向いているのだ。その方向を修正したとき、「男子汉」一人前の男になる。
上の二人に比べると、非常にシンプルなはずなのだが、いかんせん、堅固な「玉」なので変化に時間がかかる。





「欺く」「盗む」にまつわる語


▼5集
朱允は、陳林に、小龍蝦らの斉国候の蔵泥棒を手伝うと約束したことを話すが・・・
皇上: 所以朕答应去参加,只是诓(kuang1)他们的。朕还要出卖他们呢。

诓(kuang1)だます、欺く
出卖(chu1mai4)売る、裏切る、売り渡す
このときの朱允の含みのある表情が絶妙。

[皇上清查齐国侯库房物品的清册]
陈林: 多夸皇上机智。先用偷龙转风,再施金蝉脱壳
皇上: 最后的这招敲山震虎。 才是朕的重头戏。

偷龙转风(tou1 long2 zhuan4 feng1)
龍を盗んで風向きを変える。
この前のせりふに出てくる「因势利导(yin1 shi4 li4 dao3)物事の成り行き・勢いに乗じて有利に導く」と同意だろう。陳林の造語?

金蝉脱壳(jin1 chan2 tuo1 qiao4)
成語:セミが外皮を脱ぐように、人に知られずそっと姿をくらますこと。

敲山震虎(qiao1 shan1 zhen4 hu3)
成語:山をたたいて虎をおどろかす。
外側から攻め立てる、ということ?

重头戏(zhong4 tou2 xi4)
歌やせりふが多くて演じるのに骨が折れる芝居。


(在朝廷,跟齐国侯说)
皇上: 难道真是应得市井谣言,说齐国侯在朝廷内取意要许多朝臣作为掩护

掩护(yan3 hu4)
援護する、かくまう、ひそかに援護する、遮蔽物、目隠し

(皇上让齐国侯献纳乒器财宝。退朝后)
齐国侯:(跟齐国公子说, 关于他的兵器财宝都被皇上没收的件)我倒不怕他硬碰硬。
(跟文丞相说,关于刑部的上头让窃贼解放的件)你这想推个一五二六啊?
是谁说的,朝廷里能呼风唤雨的 不就是你吗?

一五二六
これがよく分かりません・・・「ごろつき」とか「ろくでなし」ということ?

硬碰硬(ying4 peng4 ying4)
強硬な態度に対して強硬な態度で臨むこと。火花を散らすような衝突。

插手(cha1 shou3)介入する

低估(di1 gu1)みくびる

闷棍(men4 gun4)不意打ち

怂恿(song3 yong3)そそのかす

中计(zhong4 ji4) (相手の)計略にかかる、罠にはまる。

耍(shua3) ふりまわす、もてあそぶ、操る、からかう [耍刀(刀を振り回す), 耍笔(筆を振るう)

明火执仗(ming2 huo3 zhi2 zhang4)
成語:たいまつをかざし武器を手にする。公然と略奪するさま。
・・・小龍蝦らが斉国候の私牢に入れられるところ、「この件は刑部管轄!」と刑部の役人が現れ、小龍蝦らを捕らえるだけでなく斉国候の財宝や兵器も証拠物件として没収します。成語のとおりのシーン。この後皇上は国庫に入った財宝の一箱を小龍蝦らのために堂々と巻き上げていた。これもまた明火执仗。


「善」にまつわる語


▼5集
小龙虾: 我帮人救人就舒胆嘛。 再苦再累我也愿意。

善を為す、最も楽し。
『十八史略』善いことをするのが一番楽しい。


IME 入力言語の切り替え

中国語と日本語を併用してキーを打つときに煩雑なのが、言語の切り替えだ。
今までは、PC画面の下部にマウスでカーソルを合わせて切り替えていた。

(たいていの画面で下部にある)
日本語IMEを開く→入力方式を左クリック→プロパティ→全般→設定
ここから設定を変えます。
Ctrl + Spaceで日本語⇔中国語を切り替えるようにした(わたしの場合)。
操作が一回ですむので、すごく楽になった!

おすすめです。

外国語吹き替え版

クメール語吹き替え版
一人の俳優が複数の役を兼ねていて、淡々とした感じです。




cong chua hiep nghia
これは広東語?

予告編等

my bratty princess trailor(約14分)
音声の整ってないラッシュ編集で、そこがまたおもしろいです。
本編では、チャンナラのせりふは吹き替えですが、ここでは韓国語でしゃべっています。
チャンナラのせりふの背後で、中国語のプロンプターの声が聞こえます。こうやって呼吸を合わせてるんですね。
チャンナラ本人の声って意外と低めなんだなあ。



天辺
チャンナラが歌う、これはイメージソング?
主題歌候補だったのかな?? バラードです。


"My Bratty Princess" trailer 約9分


刁蠻公主MV
たぶんファンの方が個人で作成したMV.曲もドラマとは関係ないもの。
朱允と小龍蝦・司徒静とのかわいいシーンが凝縮ですね^v^


張娜拉 蘇有朋 刁蠻公主 韓國宣傳報導 @ CEN
蘇有朋とチャンナラの宣伝活動。
チャンナラが韓国語で中国語ドラマの撮影に参加した感想を語っています。中国語の字幕つき。




見せ場シーンが多様多彩なので、編集の仕方や音楽で、アクション活劇のようにも悲劇のようにも喜劇のようにもまとめられるんだなあ、と改めて感心します。

わたしが個人的に好きなシーンは、「お兄ちゃんを助けて!」と皇宮に乗り込んできた司徒静がわんわん泣いて、朱允がうろたえて「泣くな!」と叱りつけながらも、泣きべそ顔を見て思わず笑みがこぼれるところ。何回見ても好き^▽^ 
お気に入りのシーンはありますか?

安寧公主


安宁公主(an1 ning2)

皇上の実妹。男の侍従に囲まれて育ち、武勇を好む。
善良だが、全体の状況を把握しない子どもっぽい行動をとることもしばしば。
剣南と文薔と結婚に尽力して司徒静と心を通わせてから成長し、冷静な判断で抑制された行動をとるようになる。最初は抵抗していた白雲飛との結婚だが、武勇に秀でた白雲飛を認め、思いを寄せるようになる。

子どもっぽいときはミニスカートにブーツ!といういでたちだが、本来の性質が生きるようになってからは公主の冠と長い裾の衣装に変化する。


●図像から読むと
「蛇」のイメージ。(黒い鞭をもつ。髪飾りは糸を何重にも束ねたもの)
「蛇」が脱皮を繰り返して成長するように、安寧公主も物語の中で性格・行動の変化が大きい。

「芙蓉苑」に住む。「芙蓉」は「夫容」に音が近いことから「妻が夫を慕う」花という。
一度惚れた白雲飛を慕い続けるのは、この花のイメージに通じる。


3集 結拝兄弟


3集


小龍蝦が剣南と文薔のために設けた宴に、文薔に一目ぼれした梁君卓が割り込んできて、場はめちゃくちゃになってしまう。
小龍蝦は、梁君卓に追われ、出くわした朱允とともに逃げる。そこに小龍蝦から腕飾りを取り返そうとした白雲飛が来る。小龍蝦は財宝は鍋の中だ、と2人を難民のための粥棚に案内する。白雲飛はあの財宝はこのために使われるのが一番よい、と小龍蝦の行いを認める。白雲飛は白玉、朱允は尹框と名乗る。

小龍蝦は朱允の九連環をあっさりと解き、皇上の悩みもすらすらと言い当て、解決方法まで鮮やかに述べる。朱允は小龍蝦こそ自分の貴人だ、と信じる。白雲飛は侍従の無双に、2人は得がたい人物だと話す。
文薔と剣南は、子どものときに剣南が文韜に怪我させて以来会えなかったが、今後は自分の意思で会えることを確かめ合って喜ぶ。

夜、馬車を走らせる白雲飛は、静修一味の襲撃にあう。小龍蝦と朱允/尹框は、これに居合わせ、白雲飛を助ける。静修は、小龍蝦/司徒静の存在に気づき襲撃をやめ、司徒静/公主と白雲飛と皇上が接近していることに困惑する。
小龍蝦、白雲飛、朱允の3人は義兄弟の契りを結ぶ。
白雲飛は、取り返した腕飾りを小龍蝦にあげる。

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小龍蝦らが互いに名乗り、義兄弟の契りを交わすところは、高揚感があっていいなあ。
名乗りあったところで、白雲飛は「用があるのでお先に」と出て行くが、いったい何の用だ。住民票登録か?




参照:
「朽木は彫るべからず」「己を達せんと欲して人を達す」化名(仮名)のひみつ腕飾りのひみつ
世界をつかさどっているのは「義兄弟」「友」にまつわる語借刀杀人

2集 九連環と紅縄子


2集

白雲飛は腕飾りを返せ、と小龍蝦に挑みかかる。剣を突きつけられた小龍蝦は強盗だ!と叫び、朱允が剣を抜いて白雲飛に切りかかる。二人が打ち合っている間に小龍蝦は逃げる。
一方、文媚儿は侍女太監の頭に花瓶を載せるという罰を編み出していた。文媚儿に頼まれた玉を割ってしまった侍女の阿棋は、朱允の機転で命を救われる。
小龍蝦こと司徒大将軍の娘司徒静は兄剣南の首飾りを質屋から買い戻すが、剣南は何かのときのために、と司徒静にくれる。
司徒静は、静修に久しぶりに会いに行き、外套をもらう。
司徒静と剣南は、母とともに南山に花見に行く。剣南は成人した文薔と再会し、心を通わせる。

朱允は司徒青雲大将軍と文章丞相に、雲南国と斉国候の勢力拡大が悩みであると話す。
白雲飛は腕飾りを奪った小龍蝦の絵を描き、小龍蝦をとらえる手はずを進める。
静修は、白雲飛の殺害を企てる。皇上と雲南王の間に内乱を起こさせ、その間に公主とともに国家転覆を成功させようと言うのである。皇上暗殺に気の逸る秋心を静修は諌める。
白雲飛から奪った財宝を銀子に換えた小龍蝦は、これで粥棚を作り難民を助けるよう万人敵らに指示する。
朱允は九連環を手に、これを最も簡単な方法で解けた人が自分の悩みの解決を助けてくれる貴人だ、と悟性大師から授けられたことを陳林に話す。
朱允は、文媚儿に九連環のひとつを渡し、解けるまで会わない、という約束をさせる。
小龍蝦は、剣南と文薔を招待して食事の宴を設ける。

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「(運命の)赤い糸」は「红绳子」っていうんですね。頑丈そうです。






参照:
世界をつかさどっているのは「筆」にまつわる語九連環を解く人は借刀杀人

腕飾りのひみつ



镯子(zhuo2 zi)腕輪。量詞:只,个; [组]对,副(fu4)
白雲飛が安寧公主への結納品として父の雲南王から託された貴重なもの。彼は義兄弟の契りを交わした小龍蝦/司徒静にあげてしまう。
作品中では量詞が「副」なので、小龍蝦が付けるのとは別の、もうひとつの腕飾りが出てくるはず、と思っていたのだが…。わたしは、いつになったら彼女が白雲飛にこれを返すのか、早く返せばいいのに、とずーっと気になってた。

▼1集
小龍蝦/司徒静は、なぜこの腕飾りに目をつけ、気に入ったのか。
龙眼识珠,凤眼识宝,牛眼识青草
俗語:龍の目は珠を見分け、鳳凰の目は宝を見分け、牛の目は青草だけを見分ける。
人並み外れた人は、人並みはずれた価値を見分ける。
もちろん、小龍蝦の目は龍の目である。


▼3集
腕飾りをくれた白雲飛は「いい人」?
老虎戴念珠,假充(jia3 chong1)善人
俗語:虎は念珠をもって善人を装う。

小龍蝦、無邪気に喜んでるけど気をつけろよ・・・。虎だよ、虎。






1集 ことの始まりは賭場から


1集

チンピラ小龍蝦(本当は大将軍の娘 司徒静)が胴元の「生死戦」という賭場に、皇帝朱允がおしのびで視察に来ている。
これはいかさま賭博で、小龍蝦は勝たせたい相手をむりやり勝たせる。朱允も一口すられる。
朱允は官員に知らせる前に事の成り行きを最後まで確かめようと小龍蝦らについていき、彼らが難民に金を与えていることを知り、不問にする。
(*このシーンはこの物語世界でのいろいろなエピソードの基本形となっているので、ぜひとも頭の隅に。およそ1集から3集あたりのエピソードやシーンは、ごく短い旋律でも後々主題として展開するモチーフになっている。)

皇宮に戻った朱允は、侍女太監らを痛めつけている文媚儿にビンタの打ち方を教えてやる、と文媚儿にビンタする。
小龍蝦のチンピラ友達の万人敵、巴虎、熊二は斉国候の賭場ですられて大暴れして、捕らえられる。逃げ出した巴虎は小龍蝦に助けを頼む。小龍蝦は家に戻り兄剣南の首飾りから金を調達して、彼らを助け出す。
万人敵は、斉国候の公子梁君卓の財宝を奪って、難民の助けと剣南の首飾りを取り戻す資金にすることをもちかける。
朱允は書の最中に秋心の襲撃を受けるがかわし、彼女を放逐する。
小龍蝦は小鬼嶺で万人敵らに梁君卓を襲撃させる。ところが、梁君卓はすでに通り過ぎた後で、彼らが襲ったのは雲南国王子白雲飛だった。小龍蝦は林の中で万人敵から包みを奪う。

秋心の後をつけていた皇宮の兵は、前王朝復国を企てる離恨天の首領:静修の矢を受けて戻る。朱允は暗殺グループの手がかりを得る。
翌日、小龍蝦は万人敵らに取り上げていた宝を見せ、これで難民を助けることを伝える。
酒店で、小龍蝦、白雲飛、朱允が顔を合わせる。
白雲飛は、小龍蝦の腕飾りが自分のとられたものだと気づく。

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朱允が秋心の襲撃をかわすシーンが好きです。
(ありえないけど。こんなにヘタレでは、秋心が静修に叱られるのも仕方ない。)





参照:
腕飾りのひみつ「賊」にまつわる語白雲飛登場にまつわる語「筆」にまつわる語借刀杀人


文薔


文蔷(wen2 qiang2)

文家の次女。
父は文章丞相、姉は文媚儿貴妃、弟は文韜。
小さいころ姉にいじめられ弟に乱暴されていたのを庇ってくれたのが司徒剣南で、それ以来彼に好意を抱いている。父、姉、弟の私欲のとばっちりをうけて、斉国候公子梁君卓との結婚が進められ、剣南との愛の成就はとても険しい。

「文弱(wen2 ruo4)か弱い」と評されるが、実は文强(wen2 qiang2)である。
崖から飛び降りても、杖刑に処せられても死なない不死身の強さは、「薔」の字にある。
薔には、殺を意味する「メ」が二つ含まれるが、下に「回」があり、二回よみがえる力がある。
(悲劇に涙が沸いて出そうだったのに、「生きてるんかいっ」と突っ込んでしまった。)
「ばら」は「荆棘(jing1 ji2)」とも書き、困難、混乱の比喩ともなる。


●陰陽五行では
文媚儿と同じく、高く山のように髪を結い上げており、水行に属するようだが、本来は、蛇の土行に属する。


●図像から読むと
髪に「青い梅の花」の飾りをつけるのは、「青梅竹马」(男女の幼なじみ)のイメージである。
髪の一部を細く編んで束ねた輪の形にするのは、安寧公主と同じく「蛇」のイメージである。
文媚儿の悪辣な亀よりも、司徒静の善良な亀と接近することで、玄武の力を得て、木行の文章を克服するとといえる。

結婚式の日に脱走する際、頭を緑の布で覆うのは「戴绿头巾」(不倫の女性)を示す。(冗談のきつい物語だ。)

司徒剣南


司徒剑南(si1 tu2 jian4 nan2)

司徒静の兄。
文武に長けており、文丞相も一目置く。
おてんばすぎるが善良で聡明な妹を尊敬し頼りにしている。
かつて怪我をさせた文韜に逆恨みされている。

愛する文薔となかなか結ばれない。
牢につながれること多し。

艰难(jian1 nan2)に音が通じる。

艰苦卓绝(jian1 ku2 zhuo2 jue2)
成語:言語に絶する艱難辛苦。(卓绝は「この上なく優れている」の意)
艰难(jian1 nan2) もとい剑南(jian4 nan2)は苦しむ。しかし梁君卓没绝...


●陰陽五行では
名前に「南」を含み南の方位の火行に属するがその力は弱い。

●図像で読むと
普段は黒の服を着ているが、文薔との食事の席には「白地に虎」の服で行った。金行は水行の文薔を得るのに最良のイメージである。「虎」が不在の「竹」だけの紋の梁君卓より強い。


梁君卓


梁君卓(liáng jūn zhuō)

斉国候の一人息子。
ちょっと頭が鈍い。自己中心的。
文薔に横恋慕して、文薔と剣南の仲を引き裂く。

梁上君子
梁上の君子。「どろぼう」の喩え。

結婚を認めてくれた文薔の父:文章に向かって
我梁君卓 一定会像爱护自己一样爱护您的女儿文蔷。
(私梁君卓は、自分を愛するように娘さんの文薔を大切に愛します。)

文章もここで気づけばいいのに・・・


●陰陽五行では
金行に属する。 白雲飛と同じ道から入城した。
比較的まともなときは、緑の竹の文様の正装で銀の冠をつけている。
徳を失ってくると、文様はやせた紫の竹の文様になる。竹の葉は乱れている。
竹は虎の住むところだが、虎はいない。
正装に虎の紋がある白雲飛より小物。


世界をつかさどっているのは

▼2集
九連環を朱允に授けた悟性大師(wu4 xing da4 shi4)。
无形(wu2 xing2 ) 大事 (da4 shi 4)  形のない大きな事柄 であり、
五行(wu3 xing2) 大師(da4 shi4) でもある。

「五行」は、「五行思想」のこと。「五性」と書くこともある。
「大師」には、「大家」、「法師」の意のほかに 「将棋やチェスのマスターの称号」の意もある。

悟性大師という「五行の名人」から九連環を授かった朱允は、それを解いた小龍蝦とともに
この陰陽五行に隅々まで支配された「刁蛮公主」世界の難題を解決していく役割を担わされたのだ。


▼3集
白雲飛を助けようとして離恨天に囲まれ、
小龙虾: 天下人管天下事。你们以多欺少,这档事,(指朱允)他管定了!


朱允が盤上の駒を動かしているようで、
彼もまた大きな盤上の駒でしかない。

九連環を解く人は



▼2集

朱允は悟性大師から授かった九連環をもてあそぶ。
これを最も簡単な方法で解くことができた人が自分の貴人となり、難局難題を解決する手助けとなるだろう、 と言われたのだ。九連環は、「ちえのわ」のこと。
小龍蝦は、白雲飛の刀で九連環を割る。
「世の中には助けなきゃいけない人も解決しなきゃ行けない問題もたくさんあるのに、なんでこんなのに時間を無駄にするのさ! 九連環は完全に分かれただろう?」
小龍蝦は皇帝の悩みを言い当て、その解決方法もすらすらと述べる。
朱允は、この人こそが自分の貴人だ、と感服する。

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ここから物語はいよいよ動き出すが、
九連環を解けるのは、この物語世界で小龍蝦しかいなかった。
直感的に行動するから、主人公だから・・・まー、そうだけど、
文字の魔力から読み解くと・・・。

「九」は「龍」の象形に似ていることもあって縁起がよいとされている。
なるほど、「九」と「龙」はよく似ている。

九连环に刀を振り下ろす・・・
「九」に「ノ」を差し込むと「龙」にそっくりである。

でも「龙」には「ヽ(点)」がある、その点はどこからもってくるの?
点は、「环」の王へんの一画目を持ってくる。

「九」に「ノ(かたな)」と「ヽ(点)」を加え、「龙连环」に・・・
いやいや、「环」は一画目を失ったので「坏」となった

龙连坏。
龍が悪に連なる。

小龍蝦はひとつひとつの問題を解決していくけれど、その一方で別の問題も引き起こす。
(小龍蝦の「龙」 は「ノ」 を失ったので、「不完全な龍」となり、このあとの小龍蝦の行動は、なにかと不完全。
捕まったり、ほかの人を巻き添えにしたり。 この文字の形の変化の話はまた別記。

小龍蝦が問題なく自分の意図を全うできたのは、九連環以前の「イカサマ賭博でもうけた金を難民に分ける」「万人敵を斉国候の賭場から助け出す」、だけである。「万人敵が盗んだ白雲飛の荷物を巻き上げる」はうまくいったようで、やはり白雲飛と打ち合いになってしまうし・・・。これは、腕飾りの呪いである。その話も別記。)


完全に分かれてしまった九連環を、ひとつひとつの九つの環に戻していくのは、朱允の役目。
彼は「坏」 を「怀」に変えていく。


そして、彼の小龍蝦もとい司徒静への想いも変わっていくのである。

★ごく簡単な作品紹介


「刁蛮公主=おてんばな王女」

大将軍の娘として育てられた司徒静は、男装して「小龍蝦(ザリガニ)」と名乗り街のチンピラとつるんでいるが、貧しい人を助ける善良な心を持っている。
皇帝朱允は朝廷内外に問題を抱えており、皇宮を出て束の間の息抜きを楽しんでいる。
一方、雲南国王子の白雲飛は、皇帝の妹との婚姻のために都に上がってきたところ。

三人は思いがけず出会い互いの素性を知らぬまま、快活な小龍蝦の元に義兄弟の契りを果たす。それぞれが絡む皇帝暗殺、内乱の陰謀、出生の秘密もあり、三人や周りの人生はかなしくもおかしくも変化していく・・・という愛・友情・智恵・仁義・勇気の娯楽時代劇。

かなり破天荒だけど情の厚い小龍蝦こと司徒静を演じる张哪啦(Jang Nara:チャン・ナラ)、りりしく聡明な皇帝の苏友朋(蘇有朋:アレック・スー)も表情豊かで役柄に合っている。
いくつものエピソードを巧みに操るストーリーは起伏に富んで面白い。それぞれの人物が(少ししか登場しないキャラクターでも)厚みをもって描かれていて、その人の人生を生きているんだなあと思わせる作品である。

★このブログの方向

「刁蛮公主」は、ストーリーと人物を追って娯楽劇として観賞するだけでも十分楽しい作品なのだが、
しっかりと組み立てられた脚本ときらきらと魅力的な人物造詣を支える要素が思いのほか膨大で奥深い。


ネットだけでは足りず、普段使う辞書以外にもいろいろ引っ張り出しちゃって、本まで買っちゃって、いろいろ調べてると抜けられなくなってしまった。
このブログでは、天衣無縫の物語を裏返して、人物、行動や物語の展開、思考の流れをつくる縫い目を解いていく。
主となる視点は以下のとおり。
▼登場人物と物語を形づくる陰陽五行思想と図像イメージ
▼行動を運命付ける文字と言葉の力
▼「仁」か「法」か「私」か


▼登場人物と物語を形づくる陰陽五行思想と図像イメージ
虾,司徒静 (静の左側は青)
尹框,皇帝 允 (朱雀は皇帝の居るところ)
玉, 云飞 (正装の紋は
というところで、青龍、朱雀、白虎・・・四神相応??と思う。

では玄武は何者か?
白玉が小龙虾にあげてしまう、腕飾りである。
手首を通す輪の部分から長い鎖が伸びていて、親指にかける小さい輪がついている。
これが、亀と蛇がからまりあう玄武の形を模している。
青龍が小龙虾・司徒静、というように朱雀、白虎も陰陽2つの面を持っているので、玄武もそれとならっているべきである。
そうなると、雲南王、離恨天。彼らが実は腕飾りを通じてつながる一対であることが後半明らかになる。

さらに
文媚儿,安寧公主,司徒剣南,文蔷,梁君卓,万人敵,文韜,太后,文章,斉国侯・・・
脇を固める彼らも、衣装、小道具、メイクなどに表れる中華圏の図像イメージから陰陽五行思想での位置を当てはめ、人物像を説明できるようなのだ。
これら陰陽五行と図像は物語の流れも形作っている。



▼加えて興味深いのが、行動を運命付ける文字と言葉の力である。
このドラマには、なんでこんなシーンが? なんでこの人はこんな行動を? という少々違和感を感じさせる場面がところどころに挿入されている。(例えば、 白雲飛登場にまつわる語 を参照。派手な登場シーンの中に物語の展開や人物の性格が・・・)
はじめはストーリーを追うのに懸命で気づかなかったが、繰り返して観るうちに、以前出てきた行動そのものを説明する慣用句が後の場面で出てきたり、冗談や定型の言い回しが後でほんとのことになっていることに気づいたり、場面や人物を解読できる俗語や成語を辞書で見つけたりすることが数多くあって、この作品世界は文字と言葉と図像に支配されている、と確信した。
九連環が完全に解けた!という爽快感だ。


▼「仁」か「法」か「私」か
さらに物語を突き詰めていくと、なかよくけんかしているように見える小龍蝦/司徒静と朱允が儒家思想と法家思想のせめぎあいでもあることがわかってくる。
小龍蝦/司徒静の行動が『論語』で重んじられる仁を、
皇帝朱允の為政が『韓非子』の信賞必罰を、その心構えが『苟子』の礼を体現しており、
この二人は対照となっている。
白雲飛はその対極として私心・俗心のある小人、現代的な倫理観のふつうの人、である。

(「仁」「礼」などは、陰陽五行でも位置づけがされている。)
「仁」は世の中に実現できるのか、「法」で国は治められるのか、「私心」で貫く愛は真か。
或いは、「仁」で国を、「法」で愛を、「私心」で世を動かせるか。


▽こうしてみてくると、
星の名前を借りた「美少女戦士セーラームーン」どころではない。
チェスをモチーフに少女の成長を描き言葉遊びも多彩な「鏡の国のアリス」のように、複雑なのである。
文体と時間をもてあそぶ「ユリシーズ」にも通じる魔力の強さだ。(かく言うわたしはこれらの作品を語れるほどには知らない・・・^_^ゞ)
本来のストーリーと人物を支える裏のモチーフの凝りようから「○○」ばりに、それを超えて、という例として、どの作品がぴったりくるかなあ? 

これらの要素を最大限に生かす方法として毎週少しずつ起伏を作れるこの連続ドラマが最適の表現方法だったと思う。
二時間の映画だとさほど多くの要素を描きこめないし、映像だとさらりと巧みに隠すこともできる情報も文字表現が全ての小説では文字化せざるをえない。

きっと、陰陽五行思想が身近にあり、中華図像や中国語を自分の文化として豊かに使っている人たちは、「刁蛮公主」のテレビ放映を見ながら、これってあれだよね、と笑ったり、突っ込んだりしていたのだろう。

以上の、陰陽五行思想、図像、文字、故事成語、俗語、『論語』・『韓非子』などの観点から、この作品の裏をひもといていきます。
すごくディープでマニアックな分析になってくると思います。^~^
わたし自身が中国語を学習中で、そのほかいろいろにわか仕込みなので、
ご教授やつっこみをいただけたら幸いです。

「ザリガニ中毒」の人が増えたら嬉しいです。


ちるちる
2008/10/14
2008/11/04 改訂("「性善説」・「性悪説」"の項を追加)
2008/11/11 改訂("「性善説」・「性悪説」"の項を"「仁」か「法」か「私」か"に修正)





「烦着呢」

主題歌「烦着呢 」にいろいろなバージョンがあります。

烦着呢わたしがもってるDVDのバージョン



烦着呢
音のピッチが違う・・・。パイロット版?



Jang Nara MV 烦着呢 Princess Diaoman
約4分のフルバージョン。



チャンナラと蘇有朋ライブ歌唱
歌唱は・・・生で歌った勇気に拍手したいです。
ふつうの、かっこになっちゃうと、もはや司徒静と皇上じゃないのね。。。
あのドラマの衣装で歌ってほしかった。