五行「木火土金水」のそれぞれに陰陽が組み込まれ十干が当てはめられた陰陽五行思想は、自然の移り変わり、人間の内面的外面的変化、政治や道徳など、あらゆるものの変化と不変の全てを説明する、という。
十干「甲乙丙丁戊己庚辛壬癸」は、植物の成長過程と万物の生成変化を重ね合わせたものである。
この十干と、「刁蛮公主」の物語の流れを重ね合わせると以下のようになるだろう。
(以下、物語の核心・結末に触れる部分あり)
(木行の陽)甲:
種子がいまだ固い殻に覆われている「万物符甲」の状態。
小龍蝦は、善心を備えているが、自分勝手ないたずら心も多く持つ。
朱允は、宮中朝廷に問題を抱えている。
白雲飛は、不服ながらも父王の命で入城する。
(木行の陰)乙:
固い殻を突き破る「万物生軋(しょうあつ)」の状態
小龍蝦(甲殻に覆われている)、九連環(匣に入っている)を割る。
小龍蝦の善心に触れ、小龍蝦、朱允、白雲飛が義兄弟の契りを果たす。
(火行の陽)丙:
柄のように芽を現す、成長の著しい「万物炳然(へいぜん)」の状態
朱允は小龍蝦の力を借りて斉国候の財宝・兵器を国庫に入れ、尹框として安民村にも資金をもたらす。
安民村が文韜に燃やされる。
剣南は、小龍蝦のためにあえて冤罪を受ける。
(火行の陰)丁:
勢いさかんな「万物丁壮(ていそう)」の状態
朱允は、静修の物証で剣南の冤罪を晴らし、斉国候の財宝で難民問題を解決する。
剣南・文薔の愛情が高まるが、文薔は梁君卓との結婚を強いられる。
(土行の陽)戊:
盛大に生い茂る「万物茂盛」の状態。
安寧公主が入城する。
朱允・白雲飛は、司徒静に愛情を抱く。
文薔・梁君卓の結婚話が進む。その結果剣南・文薔が心中、駆け落ちする。
(土行の陰)己:
成長が極まり万物みな紀う(ととのう)状態。
安寧公主の助力あって、剣南と文薔が結婚する。
安寧公主は、司徒静と友情を結ぶ。
剣南は、将軍に任命される。
(金行の陽)庚:
成長がここで改まり、花が散り実を結ぶように変化する「万物改更」の状態。
白雲飛が安寧公主との婚約解消を申し立てて死刑の宣告を受け、司徒静が偽勅旨を出して牢に入るが、
朱允の過去の勅旨によって解放される。
朱允と司徒静が愛情を結ぶ。
離恨天は脱獄、毒酒でクーデターを企てるが失敗する。
(金行の陰)辛:
実をつけた状態からまた新しい世界へ至る「万物新生」の状態
白雲飛が軍撤退の条件として、安寧との婚約解消と司徒静との結婚を提示する。
朱允が司徒静を手放す。
白雲飛が安寧を見つめなおす。
※(水行の陽)壬:
新たな種子が固い殻に次の命を育む、懐妊「万物任養」の状態
司徒静は、雲南国軍の本営で実の伯父と出会う。
朱允は、司徒静を皇后にすることを約束する。
※(水行の陰)癸:
種子が芽吹きのときを揆る(はかる)「万物揆度」の状態
静修は皇上暗殺・内乱を図る。
朱允は、退位の意思を告げる。
白雲飛は、父王に軍撤退を進言することを決意する。
※水行の陽と陰は、物語では順序が入れ替わり、癸→壬と推移するようである。
(全ての要素は連続しており、ある段階で次の段階が頭をもたげていたり、前の段階が尾を引いていたりするので、事象の位置のとらえかたはこの限りではないと思う。)
重要なお知らせ
1 年前
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