▼10集
文韜ら文家の者に対する皇上の処置について、陳林と皇上の会話
陈林: 皇上您恩威并济,软硬兼施,这对付文家的效果太好了。
皇上: 这我是灵机一动。你别说。
这招还是昨天喝酒的时候受到小龙虾的启发呢。
「昨日酒を飲んでいたときに小龍蝦から启发(qi3 fa:ヒント、示唆)を得た」と皇上は言うが、
小龍蝦と皇上は事件の話なんかしてなかったし、どこから启发を?? とその酒盛りのシーンを見直す。
見直すまでに、下記の事件を復習。
(※文家に対する処置の顛末※
文韜は無登記の土地に自分の家を建てようとしていたが、小龍蝦が先に難民のための安民村をそこに作ったことに腹を立て、安民村を焼き尽くした。文韜はその際矢を受けて重傷を負い、父文章は司徒剣南を文韜傷害の犯人に仕立て、刑部に指示し偽の供述を作成させ重犯にしようとした。
事件の発端はそもそも、朝廷の難民救護の意向にそむいて丞相文章が難民を城外に追いやったことであり、小龍蝦の自主的な救護活動を文韜がつぶそうとしたことであった。
朱允は事件の真相を最後には明らかにし文家の罪状を暴露批判したものの、文韜には既に重傷を負っていることから今回は罪を科さなかった。
朱允は文家を訪問し、文韜に土地を与え、文章に司徒家と反目しないように伝え、文薔に結婚の際には大きな贈り物をすると約束する。文家は皇上の温情に感謝し、皇上への忠義を誓う。)文家を訪問する前夜、朱允は酒を持って白雲飛・小龍蝦に会いに行き、三人で酒を酌み交わす。
三人の酒盛りでの会話。
白云飞: 三弟,你真是海量啊。
朱允: 什么海量啊。我看他根本就是饮驴。
行路渴驴喝水也就是一样。小龙虾:
你才是行路渴驴哪。二哥,你带的酒肯定是世上最好的。不喝多,多亏啊。白云飞: 三弟,你怎么知道你二哥这儿有好酒呢啊。小龙虾: 全天下就他的好酒多。他是个酒鬼嘛。「小龍蝦の飲みっぷりはロバ並み」、と言う朱允に対して、小龍蝦は「二哥だって。こいつほどいい酒をたくさん持ってるやつはいないよ。のんべえだもの。」と言う。
白雲飛はこの小龍蝦のせりふから、朱允が皇上だと後に確信する。
(皇上には献上の酒がたくさんあるだろう、酒での外交も仕事だろう。)
一方の朱允自身が連想したのは、以下の言に違いない。
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唯酒无量,不及乱。『論語』巻第五 郷党第十:唯だ酒は量なく、乱に及ばず。
(孔子は)酒については決まった量はなく、いくら飲んでも乱れなかった
(※「乱れるほどは飲まなかった」という訳もあるが、ここでは先述の解釈のほうが話に合う)。---
「仁」の現身のような小龍蝦とのおしゃべりで、朱允は「酒飲みの仁」に思い至ったようである。
文韜の体を気遣い、この事件は過ぎたこととして今後悔い改めることを信じていると話し、彼に土地の権利書を贈った。
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君子怀德,小人怀土;君子怀刑,小人怀惠。『論語』巻第二 里仁第四: 君子は徳を懐い(おもい)、小人は土(ど)を懐う。 君子は刑を懐い、小人は恵(けい)を懐う。
君子は道徳を思うが、小人は土地(利・財力)を思う。君子は(徳の実践のための)法規を思うが、小人は恩恵を思う。
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・・・こうしてみると、一見温情ではあるが、冷嘲热讽(leng3 chao2 re4 feng3)を含む処置である。
彼の今回の「仁」が本当に適切なものであったか、この後の物語の展開から見るとなんとも・・・。
ではどうすればよかったか、という話はまたいつか。
(ここで丸く治めちゃうと物語が終わってしまうので、まあ仕方ない。)